ツイステ | ナノ
金曜日の夜に、また逢えるかな
オンボロ寮と揶揄される我が寮の内装工事はほぼ終わり、外のウッドデッキにも手を加える余裕が出来てきた。
エース、デュース、グリムは外なんてどうでも良い、中が綺麗ならそれで生活出来るのだから良いだろ、と言ってきたけれども、交渉と成果に見合った粗品を用意する事でウッドデッキの修繕を手伝ってもらうのに成功した。
今日は金曜日、ランタンに灯りをつけて窓辺に置くと、グリムが何だソレ?と訊いてきた。今までうっかり割られでもしたら困るからと隠していた物だから、いきなり現れたこれに興味を持つのは当然だろう。
「貰い物なんだ。だから間違っても割らないでね」
「何だとぉ〜!オレ様は何も貰ってないゾ!誰から貰ったんだゾ!」
「前に話したツノ太郎だよ」
「オレ様が会った事ない奴だゾ!」
「そう。だからグリムの分が無いのは仕方ない。ドンマイ」
「ふなぁー!子分のくせに生意気なんだゾ!次からはオレ様の存在をちゃんと伝えるんだゾ!」
グリムの存在はツノ太郎知ってるよ。と言ったらまたややこしくなりそうなので黙っておく。
地団駄を踏む短い足は、ダンスしてるみたいだ。
「気が向いたらね」
「ふな"ぁーー!」
プンプンと怒りながらもベッドにゴロンと横になるグリム。
不平不満を口にしながらあくびをして寝ていくのだから、寝ることに関しては一級だなと思う。……流石におやすみ3秒とまではいかないけども。
って、考えているうちに寝てしまった。
「灯りがついてるの、気付いてくれると良いなぁ」
週末の夜、名前を名乗らないあの人も1週間の疲れで早々に寝ているかもしれない。もしそうならば、図書館から借りてきた本を読んで1人夜更かしをするだけだ。
談話室に置いている、購買で購入したお菓子が入った紙袋の中身を思い出す。相手が出した高級そうな菓子とは雲泥の差だけれども、口に合うだろうか。明け方までに減らなければ、明日みんなで食べよう。
灯りをつけてどれ位か、窓辺に椅子を運んで、活字を目で追っても一向に進まない。文字を見ているし読んではいるのに、文章として頭に入ってこないのだ。
それよりも、買ったお菓子や茶葉の事が気になってしまう。まだ来てくれるとも分からないのに、口に合うのか、好みは何なのか、砂糖は用意した方がいいのか、ミルクは、とあれこれ考えしまう。
口から勝手に溢れる溜め息に、何でこんなに心待ちにしてしまうのかと頭を抱える。
元の世界で夜に人と会う事なんて無かったからかもしれない。今の世界でも、夜になったらみんな自分の寮に戻る。だから例外的なあの時間が特別に思えて、楽しみで仕方ないのだろう。
絶対に来てくれる確約はしていないのに、どうにもあの不思議な雰囲気を纏った人には期待してしまう。
本を読むのは諦めて外を見てどれ位か、きらりと黄緑色に光る粒子が見えた。
ああ、あれは。
何も居なかった空間に突如現れたのは、黒を基調とした制服を見に纏うツノの生えた男。
ツノ太郎だ。
まるで蛍の群生の中にいるかのような、神秘的な光を纏うツノ太郎をただ見ていると、相手がこちらを見上げた。
視力が良ければ、きっと相手の表情も読み取れただろうに。
相手が手招きするような仕草をしたので、すぐに外へと向かう。
「廊下を走るでない!」
「ごめん!」
最年長だろうゴーストの叱責を軽く流すと、他のゴースト達が姦しくなる。それも無視して階段を駆け下りて外に出ると、ツノ太郎が佇んでいた。
本当に、来てくれた。
「こんば、っ、は!」
扉を開けて外に出ると、乾いた喉に湿度の高い空気がへばりついてきて、少し咽せた。
考えもなしに走ってきたけれど、せめて羽織り物ひとつ持ってくればよかった。前と同じでしっとりとした冷たい空気が露出した部分を撫でてきて少し寒い。
「こんばんは、人の子。そんなに息を切らしてどうした」
「は、しった、から」
駄目だ、心臓が早くて、呼吸が乱れて話すのも難しくなる。そんなに距離があったわけでもないのに、いつもならグリムを追いかけて今以上の距離を走っても息が切れないのに、なんでこんなに呼吸が乱れてしまうのか。
「ふふふ、そんなに僕に会いたかったのか」
「っうん!」
だって、半信半疑で、本当に夜にまたこの寮の前に来てくれると思わなかったから。そして、散歩で寮の前に来たとしても、わざわざランタンの灯りがついているかを確認してくれるとは思わなかったから。
自分程では無いにしても、相手がこの時間を気にかけてくれていたのだと分かって、それが嬉しい。
素直にした返事に相手は驚いたのか、少し目を見開いて、それから笑った。
「ふ、はははっ!やはり面白いな、人の子は」
「ツノ太郎も十分面白いと思うよ」
「僕が?何故」
笑い顔はそのままだけれども、問いにはニヤリと悪どさが混ざっていた。
闇夜に浮かぶその顔は、危機感を感じるほどで。あれ、もしかして厄介な会話に発展させたかな?
「だって、ツノ太朗って呼ぶのを許可するって、なかなか無いと思う」
「それは僕が名乗らず、好きに呼べと言ったからだ」
「律儀だなぁ」
最初に言ったことを覆さずに、変なあだ名も受け入れるのは律儀だからなのか、鷹揚な人だからなのか。
本人が名乗りたくないみたいだからこっちも聞きはしないけれども、ツノ太郎って呼び名を許容出来るくらいに本当の名前が変なのだろうか。それはそれで、気になる。
いや、本人の意向を汲んで問いただしはしないけれども。
「今日もお茶会は外にする?」
この為に急いで作ったウッドデッキは、お披露目出来るだろうか。気合を込めて問えば、相手は考えるように自身の唇に人差し指を当てた。前もその仕草をしていたから、きっと思考する時の癖なのだろう。
「……そうだな、ゴースト達が騒がしいのは好きではない。外のほうが良さそうだ」
「待って!!」
相手が手を動かして魔法を使おうとしたから、慌てて止める。相手は魔法を止められたことが意外だったのか、目線で『どうした』と問うてきた。
「今日はこっちが用意するよ」
「お前が?魔法は使えないと耳にしている」
「うん。魔法は無理。まぁ良いから、こっちだよ」
早く早くと急く気持ちになる。悠然と歩くツノ太郎の手を握って、少し小走りで駆ける。が、相手は何故か走るといった様子はなくて。
あれ、自分だけ走ってる??
「……御御足が長いですねぇ」
「……?背丈の違いだろう」
背丈だけの問題ではないと思う。いや、足の長さは背丈に比例するだろう。それでも、足の長さが違い過ぎてこっちは小走り、相手は普通に歩く、なんてことがあるだろうか。
胴と足の長さの比率の違いも絶対にある。こちらは世間一般の体型で、相手はモデル体型って事か。考えるだけ虚しくなってきた。
「改めて見ると、ツノ太郎は本当に大きいなぁ。身長いくつ?」
「最近は測っていないから分からないな。リ……知人は2メートルは超えていると言っていたか」
「2メートル以上なの!?初めて見たよ。見上げる訳だね」
立ち止まって振り返ってツノ太郎を見上げる。リーチ兄弟も大きかったけど、それ以上なのか、凄いなぁ。
「背丈がそんなに気になるか?」
「こんなに人を見上げるのは初めてだから、新鮮だなぁって」
見上げる角度が高くて、首が若干痛い気もするけれども。
「僕は見下げるのに慣れているから、自分より小さい者の身長差など些細なものだ」
「おおう、一度は言ってみたいセリフだよ」
「では今度、肩車でもしてやろうか?」
「有難い申し出だけども、それは遠慮します」
「ふふふ、冗談だ」
冗談だと分かっていたけれど、この人はこっちが鵜呑みにしてお願いしたらやりそうだから、ちゃんと断ったほうが良い気がしたのだ。そう、断じて鵜呑みにしてないし、ちょっとやって欲しいと思ったわけではない。
いや、あの二本のツノを操縦桿のように掴んでみたいと少し思ったのは確かだけれども。
断って失敗したかなと思ってしまう好奇心に、今は蓋をしておこう。
気を取り直してウッドデッキに連れて行くと、ツノ太郎はこんな物があったか?と首を傾げた。ここまでは期待通りの反応だ。
「作ったんです!」
ジャーン!と効果音を口にして、見せびらかすように手を広げる。
薄い月の明かりしかない夜だけど、相手はちゃんと見えているだろうか。部屋の明かりをつけておけばよかった。そうすれば、外に漏れる光でウッドデッキの全貌がしっかりと見えていたはずなのに。
ツノ太郎はぽかんと薄く口を開けて、それから、魔法も使えない人の子が?とまた問うてきた。
望んだ反応と、良い食いつきに、胸が満たされる。口がにやけそうになって、堪えるのが大変だ。
「友達と作ったんだよ。前に話したグリムと、他の寮の人たちに手伝ってもらったんだ」
まだウッドデッキしか作れてないけどね、と笑えば、この短期間を思えば十分だ、と返された。
指先一つでお茶会を開ける人が、魔法も何も持たない、ウッドデッキを作るにも苦労するただの人間を鼻であしらうのではなくきちんと評価してくれる。それが、とても嬉しい。
「今日はここでお茶会を開くのはどうかな?満点の星空が見えるよ」
今はオンボロでも元は素晴らしい建物だったようで、作り替えたウッドデッキから望む景観は良い。高台に構えられたこの寮は周囲に街灯もなく、景色を遮る建物も無いから、吹き抜ける風と満点の星空を満喫できるのだ。
これで見える範囲に湖畔とかがあれば、文句のつけようもないのだけれども。残念ながら、流石にそこまではなかった。
「人の子よ、労ってやろう」
ツノ太郎が指をスッと動かすと、ウッドデッキに現れる椅子とテーブル、そしてお茶会の一式。
本当は椅子とテーブルを屋内から運び出そうと思っていたのだけれども、それらの手間が全て消える。ちょっとだけ自分が用意している茶葉を飲んで欲しかったと思ったが、せっかく労ってくれているのだ。ここで我を通すのは用意してくれたツノ太郎に対して失礼だろう。
「ありがとう」
感謝を口にすれば、お前はすぐに感謝するのだな、と言われる。人に何かしてもらったらありがとう、は普通のはずだけれども、何か違っただろうか?
魔法で椅子を引かれて、腰掛ける。先日は薄暗くて気づかなかったけれど、この椅子も装飾を施された、随分と高そうなものだ。
宙に浮かぶティーポットから注がれる紅茶も、やはり香りが良い。自分が用意した茶葉とは品質もまるで違うのだろう。この人は本当に何者なのだろう。
威厳のある態度は、彼の内面が見た目よりもずっと上に感じさせる。リドル先輩のように、周囲から求められてそうなったのだろうか。
それとも、生まれ持った気質なのか。
「ボブゴブリンというのは知っているか?」
「へ?」
ティーカップを持って考え事をしているところでいきなり問いを投げかけられて、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
相手はそれが面白かったのか、肩を揺らしながらふふっと声を出して笑った。笑いの沸点が低いのかな?それにしたって、そんなに笑わなくても良いのに。
恥ずかしさを誤魔化すように、口を動かす。
「ゴブリンは聞いたことがあるけど、ボブゴブリン?髪型がボブカットのゴブリンって事?」
「やはり知らないか」
「やはりって何」
「知っていれば、人間族同士以外では、簡単にお礼を言わないものだ」
「なんで?」
ツノ太郎はクッ、と喉にかかる様に笑った。面白い事を言ったとは思わないけど、どこに笑いのツボがあるのだろう。
「ボブゴブリンは世話焼き妖精とも言われる者で、家事をやってくれたりする」
「へぇ、良い妖精なんだね」
「さて、人の子よ、家事をやってもらったら、何をする?」
「え?お礼を言う……けど、今の話の流れからして、言っちゃ駄目なんだよね?」
「ふふふ、正解だ。ボブゴブリンはお礼を言うと、嫌悪してその屋敷から逃げてしまう。もしくは言った相手にささやかな嫌がらせをする」
「ええ〜!?何で」
「妖精の常識と、人間の常識に齟齬があるからだ」
うへぇ。と声を出すと、またツノ太郎は笑った。だから、何で笑うのさ。
でもそうか、地球上でも、同じ人間なのに住む場所によって常識は異なる。表ピースや裏ピースが国によって意味が違うというのが良い例だろう。
同じ星でも、種族が違えば言葉も違う。そうなれば無礼となる内容もまるで異なるのだ。
「じゃあボブゴブリンにはどうお礼をすれば良いの?」
「それは自分で調べると良い。なんでも僕に聞けば教えてもらえるとは思わないことだ」
「明日図書館に行きます」
「おや、早速調べるのか?」
「だって気になるじゃん。もしボブゴブリンに会った時、失礼を働きたくはないし」
「ふふふ、良い心掛けだ」
ニヤリと笑ったツノ太郎は、褒美とでも言うようにお菓子を勧めてくる。あ、お菓子。
「そうだった。こっちもお菓子用意したんだけど食べ……あ、いや、ここに並んでるお菓子みたいに高級な物じゃなくて、購買で売ってるような庶民的な物なのだけど」
「庶民的?……食べられなくはない」
「持ってくるから、ちょっと待ってて」
なんとなく、なんとなくだけれども、彼は庶民的なものから程遠いところに位置している気がする。あの椅子もテーブルも、食器も飲食物も、どれをとっても一級品なのだろう事は目も舌も肥えていない自分でも想像がつく。
それに、ツノ太郎は俗世慣れしていない気配を感じる。先ほどのお菓子の時に少し悩んでいたのは、庶民的な菓子と聞いてぱっと思いつかなかったからだろう。
購買で入手したファミリーパックのお菓子たちは、そんな彼の口に合うのだろうか。
待たせるのも嫌で、近くにあったブランケットと紙袋を抱えて外に出れば、空高くにある薄い三日月と同じ形をしたツノを二本持つ人が優雅に紅茶を飲んでいた。
光る黄緑色の粒子が空を舞っていて、まるで昔見た名画のようだ。夜なのも相まって、浮世離れしている。
現実だと忘れてしまいそうなこの雰囲気に飲まれてしまいそうで、一瞬言葉に詰まってしまった。
「っ、お、待たせ!」
「また息を切らしているのか?随分と生き急ぐのだな、人の子は」
「えっ、いや……あ、この袋の中身がお菓子なんだけど、どうかな、一緒に食べてみようよ」
「……」
あれ、難しい表情。一応、焼き菓子からチョコレート、グミ、キャンディまでいろんな種類を用意したのだけれども……。
御眼鏡に適うものが無かったかな?
「人の子はこういう物が好きなのか?」
「え?」
「先日もあまり菓子を食べなかっただろう。お前の好みは、こういった物なのか」
「ううん。そんな事はないよ。むしろツノ太郎のお菓子はどれも素敵で、とても美味しいよ。今日持ってきたのは、前回お茶もお菓子も貰ってばかりだったから、こっちからも何か提供したいなって考えただけ」
多分学年も上の相手だろう。それでも年上からの施しを甘んじて受け続けるのは、性に合わない。夜のお茶会を開く友人ならば、対等でいたいのだ。
だから、せめて場所の提供くらいはしたいと思ったからウッドデッキを作った。そして食べ物を毎回貰うのは忍びないから、こっちでも茶菓子を用意した。
「まぁ、高い物は買えないし、こんなのしかないけど」
自分で作るには、グリムを追いかけたり勉強したり揉め事に巻き込まれたりしていて、キッチンを借りる時間もない。
既製品の、しかもファミリーパックという質より量な印象を与える物だけれども、学生なのだから金無し貧乏なのは許して欲しい。
モストロ・ラウンジでアルバイトしてお金を稼いだりはしているけれども、それでも日々金欠になるのだ。
「そうか」
相手は立ち上がって、自分に歩み寄ってくる。大きい影がぬっと見下げてくるのは少し背筋をヒヤリとさせるけれども、相手はツノ太郎だ、何も怖がる事はない。
紙袋に手を突っ込んだツノ太郎は、1番手前にあった菓子袋を取ると、席に着いた。
「どうした?食べるのだろう?」
「食べてくれるの?」
「僕に食べて欲しいとお前が用意した物だ。それならば、少しくらいは構わない」
袋を開けて、中身を取り出して食べるのを見ていると、そんなに凝視することか?と言われた。
「ビックリして」
「ふふふ、おかしな事を」
「お菓子だけに?」
「ふははっ」
そうだ、笑いの沸点低いんだった。忘れてた。言葉遊びをしただけなのに、相手は愉快そうに笑っていて、こんなことでも笑ってくれるのだなぁ、とこっちも笑ってしまう。
「でも良かった。これでお茶会の準備はこっちでも出来るね」
「それくらいは僕がやってやろう」
「ええ〜。でもそれじゃあそっちの負担の方が多いよ」
「こんなことが僕の負担になるとでも?」
「あ、ならないんだ。でも友達なんだから、対等でないと」
パチン。何かが弾ける音がして、驚いて周りを見る。
「ビックリしたぁ。ラップ音ってやつかな?ゴースト達が鳴らしたのかも」
「それは濡れ衣だ、人の子」
「そうなの?じゃあなんの音だろう。家の建て付けかなぁ」
オンボロだし、もしかしたら、建物の基礎がもう限界で悲鳴を上げているのかもしれない。それは困った。
「それでもない。気にするな」
「気にするなって言われても、家が傾いて倒れるかもしれないのに、見過ごせないよ」
「……妖精の気まぐれだ」
「妖精の気まぐれ?」
さっきからよく出てくる妖精という単語。そういえば、ツノ太郎は何なのだろう。彼の事を知らないと、彼の礼儀についても学べない。知らないうちに無礼な態度をとっていては、大変だ。
「そう言えば、さっきすぐに感謝するって言ってたけど、ツノ太郎も感謝を言われたくタイプ?」
「いいや、言われて嫌な気はしない」
「あ、そうなんだ。良かった」
じゃあ妖精では無いのかな?あまり話したくないというのが伝わってきて、これ以上は良いか、と喉まで出かかった質問を引っ込める。
夜の友人の正体を知ろうだなんて、野暮なのだ。昔読んだ絵本も、小説も、夜に出てくる友達は何かしら秘密を携えているものだった。
「じゃあ、もう一つ感謝させて」
「?」
「先日、頬の傷、治してくれたでしょ。ありがとう」
「あれはお礼だ。感謝されるものではない」
そう言いながら、少し目線が逸らされる。感謝され馴れていないのかな?
「でも嬉しかったんだよ。だから、ありがとう」
「お前は……すぐに妖精に悪戯をされそうだな」
「ええ?何で」
「自分で調べる事だ。妖精について学んでこい」
「課題が増えた」
「ふふふ、学業は学生の本分だろう?」
「そうだけどさぁ」
ぶつぶつと言うと、相手は愉快だというかのように口角を上げてこちらを見てくる。
案外、性格悪いのかもね。
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