はいでえ!比嘉中!! | ナノ
拍手ログ2:ほのぼの:平古場メイン:
子供
60000hit企画
比嘉の一日
皆で始めたかくれんぼ。
鬼は田仁志で、皆散り散りバラバラに隠れた。
平古場はかじゅまるの木に登って上から田仁志の動きを眺めて笑う。
そこには誰もいない、早く左の垣根を覗いてみろ。甲斐がいるぞ。
心の中でそう呟いて、平古場は声を殺して笑った。
「ありやーうんじゅうぬどぅし?」
(あれは君の友達?)
突如聞こえた声に驚いて木から落ちそうになる。
寸でで木にしがみつけば、上からくすくすと笑う声。
上を見れば、木の葉の隙間から射し込む陽射しに一瞬視界がくらりとした。
何度か瞬いて、睨み上げればそこには枝に腰掛けて、平古場と同じように脚をぷらぷらさせた子供の影。
年齢も平古場と近いだろう。
「たーがよやー!」
(誰だよお前!)
面識の無い相手に平古場は冷たくあたる。
相手の声に驚いて、木から落ちそうになった自分が恥ずかしいのだろう、ほぼ八つ当りだ。
見た事の無い子供は、誰かの親戚かもしれない。
しかし知らないのは知らないし、何よりこのかじゅまるの木に平古場以上に上へ登れる子供はいなかった。
簡単に平古場を越えた見知らぬ子供にいい顔なんて出来ない。
「ねえ、わんもあしびんかい混ぜてよ」
(ねえ、僕も遊びに混ぜてよ)
「なまかくれんぼしてんだしよ」
(今かくれんぼしてんだよ)
「わんも隠れる」
(僕も隠れる)
脚をぷらぷらさせて、田仁志を見ている少年に平古場は勝手にしろ、と言った。
にこにこ見下げてくる少年に毒気を抜かれてしまったらしい。
田仁志に知念が見つかって、二人が鬼になった。
知念は周辺を探しながら、かじゅまるに近づいてくる。
平古場は枝に横になって、下から見ても分からないようにした。
けれど、上では脚をぶらぶらさせている少年。
僕も隠れるって言ってたじゃないかよ!と平古場は腹を立てたが、知念は少年が参加しているとは知らない。
少年を見つけたところで、俺が見つからなければ知念はまた別の場所を探すだろうと思い、平古場は動かないことにした。
けれど、
「凛君みーっけ!」
と、知念の声。
少年が見つかっちゃったね、と笑った。
「えーなんで見つかったよー」
「シャツが見えてたさぁ」
知念はへら、と笑って平古場を見る。
少年が楽しげに笑うと、知念は一気に顔をしかめた。
平古場は笑う少年と顔をしかめる知念に上下を挟まれて、困惑の色を見せる。
「凛君、へーく降りてきて!」
(凛君、早く降りてきて!)
「え?なんで」
「へーく!」
凄い剣幕で早く!と言う知念に平古場は慌てて木から飛び降りた。
飛び降りた平古場の腕を掴んで、知念はどんどんかじゅまるから離れていく。
「知念?」
「振り返ったら駄目やさ」
「ぬーして?」
(何で)
「ふりむん!」
(馬鹿!)
平古場は知念に怒鳴られて、びくりと体を揺らす。
「さっきぬはきむじなーやさ」
(さっきのはきむじなーだ)
きむじなーと言われて、平古場はぎょっとした。
きむじなーは妖怪だ。
かじゅまるを見ようとした平古場に、知念が振り向くなと言う。
平古場は知念の背を見る。
遠くから、きむじなーの甲高い笑い声が聞こえた。
〜戯言〜
60000hit企画で頂戴した『きむじなーと比嘉っこ』です。
ご希望に沿う内容であったならば、嬉しいです。
企画に参加くださり、ありがとう御座いました!
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