はいでえ!比嘉中!! | ナノ
8/19 甲斐裕次郎
「あ、おっかえりー」
トイレに行くと言って出て行った知念が木手を連れて戻ってきた。
「長かったなぁ、うんこか?」
「平古場君、下品ですよ」
木手はいつも通りの口調。
どうやら心配は杞憂だったらしい。
安心した。
木手はこうでないと。
甲斐 裕次郎
「どこ行くか決まったんかぁ?」
知念の問いに、田仁志は決まったと答えた。
着替えを済ませていた俺たちは何処を見て回るかを話しながら、凛の観光マップを見る。
慧君がここは?と言って指差したのを見て、俺と凛はげぇっと言った。
これは、慧君しか楽しめないんじゃないだろうか。
いや、でも、確かにこの現物は見てみたい。
「行く?」
と問えば、慧君は当然のように行きぶさんと言った。
「しんけん?」
凛が続けて問えば、慧君は相変わらず当然の様にしんけんと言った。
これは、行くべきなのだろうか。
「終わりましたよ」
後ろから声をかけられて、振り返ると知念と木手が観光マップを覗きこんでいた。
「なぁ木手ぇ、わんビックパフェ食べたい」
「ビックパフェ?」
慧君の言葉に、木手が分からないという顔をする。
そりゃそうだろう。
木手はあんまり甘いの好きじゃないから、パフェになんて興味ないはずだ。
凛が東京の観光マップを開いて、木手にこれだと言った。
知念も一緒に覗きこんで、驚いた表情をした。
「これ、バケツさぁ」
「何人前ですかこれ」
まともなツッコミの二人に、やっぱりまずそう言うよな、と思った。
金属バケツに入った巨大パフェ。
見る分には良いかもしれないけど、食べようなんて気は起こらない一品のはずだ。
「さあ?とりあえずデカイな」
凛が言えば、木手はため息をつく。
「デカ過ぎますよ、無理でしょう」
「だーいじょうぶだって、わったーには田仁志がいる」
「……本気で食べに行くんですか?」
「あったりまえよー」
「田仁志君、太りますよ」
慧君は太ると言われて自分の腹を見た。
凛は慧君の腹を叩いて、笑う。
「今さら1キロ2キロ変わったって大差ないさぁ」
「触んな」
慧君が腹をたゆませる凛君の手を叩く。
「……行くんですか?」
「おうよ」
腹を決めたらしい木手は、じゃあ行きますか。と言う。
「あ、あと、明日の予定練ったんだけど」
凛が途中まで言うから、続きは俺が言った。
「明日は鼠の王国行くから、早起きするどぅ」
木手と知念が、え?と言う顔を一瞬して、知念は楽しみさぁと言い、木手は楽しむ気満々ですね、と言った。
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お付き合いありがとうございました!
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