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コナー



先程からチェイスがソファーに腰掛け、真剣な表情でタブレットの画面を見つめている。一体何をそんなに真剣に見ているのか、気になったコナーは彼の隣に腰掛けるとそのタブレットを覗き込んだ。画面には様々な物件の写真が並んでいる。


「二人で住むようになってから、物がいろいろと増えてきたじゃないですか」


コナーが黙って画面に映る物件を眺めていたらチェイスが急にそんな話を始めた。画面に視線を落としたままコナーが「そうですね」と相槌をうつと、チェイスは「そろそろこの家じゃ手狭かなって思って」と呟いた。その言葉を聞いたコナーは顔を上げてチェイスの顔をじっと見つめる。それは、つまり…。


「引っ越しを考えているという事ですか?」


コナーの問いかけにチェイスは「そうそう」と笑みを浮かべて頷く。チェイスが引っ越しを考えていただなんて初耳だ。驚いたのが表情に出ていたのか、チェイスは「コナーにもちゃんと相談するつもりだったんですよ? でも、どうしても譲れない条件があって…その条件に合う場所を探してたんです」と続ける。


「条件?」

「アンダーソン警部補の家から徒歩圏内」


あまり拘りのないチェイスの譲れない条件とは何だろうか、と考えていたコナーは思わず目を丸くした。そんなコナーに気付いているのかいないのか、チェイスは「あの人よく酒飲み過ぎるし、一人にしとくの不安なんで。すぐに様子を見に行ける場所がいいんですよ」と溜め息混じりに話す。心底面倒臭そうに話しているチェイスだが、その表情が優しい事にコナーは気付いていた。


「チェイスは本当にハンクの事が好きなんですね」


ハンクとチェイスはまるで親子のような関係だとコナーは感じていた。それは時折、コナーに強い嫉妬心を芽生えさせるほどに…それくらい二人は深い絆で結ばれているように思える。チェイスは気恥ずかしいのか、眉を寄せてそっぽを向いてしまった。


「まあ…否定はしませんけど」


コナーの方を見ないままチェイスが小声でぼそりとそう呟いたのが聞こえた。ハンクとチェイスの関係は微笑ましく思えるが、やはりほんの少しだけ妬けてしまう。内心そんな事を思いながら、コナーは声をあげて笑った。

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