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「山崎氏ィィィ!」
「うっさいな!オタクは黙ってろよ!!」
「山崎氏ィ…みょうじ氏が、みょうじ氏が!」
「ンだよ、」
「攫われてしまったでござる!」
どいつもこいつも何なんだよ。クソったれ共が!!!
よし、携帯は繋がる。即座にGPSを検知させ急いでその場所へ向かった。今度は、今度こそは…俺が護る番だ。
「なまえ!!!」
ダンッ!と勢い良く開けた扉の向こうに居た彼女は、何故か敵と談笑していた。
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勢い良く扉が開く音がして視線を向ける………ってエェェ!?よりによって退かよォォォ!
「なまえ!」
「誰だテメェ、」
え?ちょっと待って。誰か解ってないって事は…
「ねぇ、アンタらが呼んだのって…」
「コイツじゃぁねぇ、土方だ。婚約者、なんだろ?」
「そうね、婚約者ね…」
退が来たのは予想外だけど、これは好都合。副長とまではいかなくても戦力になる筈…
「なまえから、離れろ!!!」
「んだと!?雑魚は黙ってろ!テメーはお呼びじゃねぇんだよ!」
「雑魚はそっちだろ!クソったれ共!!」
あ、黒い方だァァァ………これはやばいかも。これじゃ正常な判断が出来る筈も無い、
「ッ、」
案の定後ろから刺された。私の中の黒いモノが喚き蠢く。
「ちょっとアンタら、手ェ、出さないでくれる?」
コツコツと靴を鳴らし退に近づいた。冷静になんてなれる筈が無い…
「山崎ィ!上司になんて口の聞き方してんの?死にたいの?」
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無我夢中で駆け寄ろうとしたものの、周りが見えてなくて後ろからあっさりと。そんな俺に彼女は近づき、叫んだ言葉に耳を疑った。上司になんて口の聞き方してんの、と…
そんな事は有り得ないと思いたい。それでも俺が見たモノは、はっきりと示していて…彼女が纏っていたのは隊長格の制服だった。
「なまえ?」
「だから!みょうじサン、でしょ?山崎、」
スカートを捲り上げて拳銃を手にした彼女は、バァン!と上へ撃ち上げ、そして“次コイツに手ェ出したら、こうよ!”と、自身の頭へ拳銃を向けた。
お願いだからそんな真似しないで、(大丈夫、死んだりしないわ)