拝啓、カミサマ | ナノ
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作戦A、それは隣の個室にいる退を焦らせる為、いや、退と駄目だった時の打ち合わせと言った方が良いのかもしれない。私のリミットが過ぎてしまった時の為の。退たちが店を出たのを確認して機械のスイッチを切り本題に入った。
もう家の中では決められていたのだ。結納の日も、式の日も、全て…最終的に真選組副長であれば、母上も文句は言わなかったらしいけれど。


「以上が、退と上手くいかなかった時のパターンです。ご迷惑かけますが宜しくお願いします、」


そう言って私は深く頭を下げた。副長はやめろ、と言ってくれたけど罪悪感が有るのも事実。たかが一人の為に最悪結婚までさせてしまうかもしれないのだから。振られて二週間、退は未練があるようにしか思えなかったけれど、ハッピーエンドの勝算は無い。


「とは言え随分準備だの、色々かかるんだな」
「…はい。あと一ヶ月以内にと約束してしまいましたからね、父上が」
「そうなると残り三週間、って処か」


そう、三週間しかない。退にもう一度、好きだと言わせるリミット。
まだ気が有るのか、はたまたもう無いのか。取り繕ってたから後者かな…そんな事ばかり考えながら、また一口お酒を飲んだ。



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逃げた、そう表現するのが正しいのかもしれない。あれ以上二人の会話を聞いていられなくて俺は沖田さんを促して屯所に帰った。


「やっぱヘタレだねィ。殺鬼のくせに」
「んだと、あぁん?」


あ、やば。


「やめてください!こんな処、なまえちゃんに見られでもしたら…」
「幻滅される、ってかィ?」


その通りだ。あんな黒歴史…


「アイツはそんなちっぽけな事じゃァ、何とも思いやしねェ。寧ろ知ってる方でィ」
「…え?」


嘘だろォ!誰か嘘だと言ってェェェェェ!!あんな昔の事、知ってんのォォォ!?!?頭を抱えて狼狽えた、混乱した。そんな昔に会った筈も無いのに。


「取り繕ってたのは、テメェだけじゃねェって事でィ」


マウンテン殺鬼、と沖田さんは不敵な笑みを浮かべた。


明日までに思い出しやがれってんでィ
(時間が無ェんでさァ)(だから何でェェェェェ)
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