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こんな地味な俺でも一つくらいは自慢出来ることはある。大勢の隊士から言い寄られても靡かなかった可愛い彼女がいることだ。ストレートの長い髪は艶やかで、伏し目がちな目元は優しい雰囲気。細い身体は抱き締めると壊れそう。
最初は告白されたことが嘘みたいですごく嬉しかったし、今でも彼女を愛してる。でもこのままじゃ本当に彼女を壊してしまいそうで…間違いが起こらないうちにちゃんと言わなきゃ。
「なまえちゃん、俺と別れて欲しい」
「な、何でですか?どこか駄目なところがあるなら直しますから…」
涙を浮かべる目元も色っぽいなぁ…真剣に俺を見てるあたり、俺が駄目にしそうだからと言う理由じゃ別れてくれないな…
「好きじゃなかったから、ね?」
「…酷い」
言葉一つ投げ掛ければ彼女の目から涙が溢れる。だけどこれ以上傷付けたくない。今ならまだ間に合うから…
「退さんの、ろくでなしっ!」
「………。」
彼女の背中を追い掛けるのは止めておこう。
拝啓、なまえ様(本当は誰より愛してる)