拝啓、カミサマ | ナノ
11
「徳川ってどういう事ですか!?この番号ってみょうじなまえさんの家のじゃ…」
「その通りです。みょうじは私の旧姓ですよ」
「え?」
「真選組の方…ですよね?」
「な、なんで…」
「こんな番号に掛けてくる人なんて滅多にいませんからねぇ。大方、あの子が履歴書にでも書いたのでしょう?」


俺は番号の書かれた紙切れを握りしめ、何とも言い難い気持ちに駆られた。そして電話の男性は何かを知っている様に俺へ告げる。あの子、決めたら曲がらない頑固な子なので大変でしょうけど…宜しくお願いしますね、と。



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「つー訳で久しぶりのキッス!」
「するかボケェェェ!」
「チッ」
「その顔にダッセェ傷つけてやろうか?アァ??」
「…それだけはやめてェェェ!」


昔から…コイツは、俺が冗談言うと心にも無い事しか言わねェ、顔で分かる。でもその他愛無いやり取りが俺は嬉しい。まるで昔に戻ったみたいで幸せな気持ちになれた。


「俺もさァ、吹っ切れた筈なんだけどよぉ」
「何が?」
「何がってなまえだよ!傷が癒えたと思ったら依頼で身辺調査しなきゃいけねェわ、昔と変わって天使になったと思ったら彼氏いるわ…」
「何となく分かるけどさ、それ本気?」
「俺はいつでも本気だぜ?」
「ふーん」


軽くあしらわれたけど、なまえに関してはいつだって本気のつもりだ。それにさっき挑発した元カレさんがそこにいるんだぜ? そりゃぁもう目の前で奪い去るしか無いだろ。


「あ、そうそう。さっき実家帰って言われたんだけどさぁ」


そう切り出され、なまえが紙ナプキンに何かを書き、サッと俺に見せる。その後なまえが呟いた言葉に、俺よりもなまえの方が一枚上手だと思い知らされた。


私来週、結納らしいわ
(マジかよォォォ!)(うん、マジ)(じゃなくてこっちィィィ!!)
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