黙れアバズレ。 | ナノ

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あの人集りはなんだろう。そう思い覗いてみると中心にいたのはみょうじさん…

「お姉さん!何で俺らと同じ服装してんすか?」
「もしかしてお通ちゃんみたいな一日局長とか!?」
「そんな事より、名前くらい教えてくださいよー!」
「………。」

いつもの分厚い眼鏡ではなく違う眼鏡をしていた。そういえば昨日副長に壊されてたっけ…いつもの牛乳瓶じゃないからか不覚にも少し可愛いと思ってしまった。

「どけ、そこは俺の席だ」
「どきやがれィ、そこは俺の席でさァ」
「ふ、副長…それに沖田隊長まで………」
「両手に花どころか両脇にバラガキじゃないのよ」
「違いねェな、」
「おはようみんな!おはようなまえちゃん!」
「今度は目の前にゴリラかよ…」
「え、今ゴリラって言った?」

副長にはじまり沖田隊長、そして局長までもがそこに座り、その場に居あわせた他の隊士全員が明らかに引いている。それ以上に俺もこの状況を把握出来ていない。

「オイ、眼鏡買い換えろよ。毎日こんなんじゃ鬱陶しくて仕方ねェ…」
「その眼鏡壊したのはどこのどいつよ」
「ちょっと待ってください局長…さっきなまえって言いました?」
「まさか、なんですけど…」
「この美人さん、みょうじだったりします?」
「そうだぞ?お前ら気付いてなかったのか?」
「当たり前ェでさァ、牛乳瓶の底眼鏡だったしィー」
「エェェェェ!?!?マジですかァァァ!?!?」

騒めく空気と周りの隊士。そりゃそうだ、俺だって昨日壊された場面を見ていなかったらきっとナンパでもしてるだろう。眼鏡一つでこんなにも印象が変わるなんて恐ろしいくらいだ。

「あのみょうじかよ、」
「瓶底眼鏡で、」
「あの冴えない引き篭もりの?」
「全部聞こえてっぞお前ら…」

つーかお前ら、みょうじさんの存在知ってたのかよ。二年も引き篭もりで早々表に出なかった人物なのに、それはそれである意味凄い。俺なんてつい最近まで知らんかったと言うのに…

「だから言わんこっちゃない、」
「あれはあれで重宝してたんだな…すまん、」
「今更遅えぞ土方ァ、姉貴の魅力がダダ漏れでィ」
「シスコン隠す気ねーだろ…」
「まぁ良いよ。明日休みだし買ってくる」
「じゃぁ俺も付き添いで…」
「てめぇは仕事しろ」
「ちぇっ」
「あ、そうそう。今日友達と呑むから少し出るね」
「朝帰りすんなよアバズレ」
「ここでその呼び方やめて…」

細やかな笑いが溢れる。確かに見れば見るほど整った顔立ちをしていて。だからもう少しだけ牛乳瓶じゃない彼女を見ていたい…なんて。
うっかり思ってしまったじゃないか

(ギャップ萌えにも程がある)

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