らぶはぐ | ナノ

年齢不詳はどっちだ

推定二十代前半だろうと思っていた子が縁側で一人、日本酒を嗜みながら俺に問う。しかし残念だがそれは不得意分野だった、何故なら……


「すまん、俺………」
「このテの話、苦手でしたか?…すみません」
「そうじゃなくて。その……まだ、なんよ」
「…………え?えええ!?」
「そんな驚かなくても…」
「いやいやいや!え、えぇぇぇぇ!?」


悪かったな…童貞で。挙句の果てにはずっと年下だと思ってたとか。いやいやそりゃ無い、どう見ても君の方が年下だろうよ。
年頃の男の子みたく初めては好きな子って決めてしまってから、どうもそう言う“コト”に踏み出せないでいた。彼女がいた事はあったけれど最後まで至らなくて。年なりに知識だけは無駄にあったからか、周りからは卒業済だと思われていたけれど…まさか意中の相手にそっちの話を訊かれるなんて思わんだろ。馬鹿正直に話してしまって後悔した。そしてこの不穏な空気をどうにかしたくて…でも結局どうにもならなくて、俺は三角座りになって俯いてしまった。

―――最悪だ…なまえちゃんはきっと、どん引きだな。

ちらりと目線をやると降りた髪の隙間から彼女の顔が見えたものの、どう対処して良いか分からない顔をしている。ちっとも目を合わせてやくれない。
ドタドタと足音を立てて局長がやってきたが俺はそれどころじゃないのさ…なまえちゃんと話している間にこっそり消えようとしたが、耳を疑う会話…と言うより局長の話し方に違和感を覚えた。何故今まで気付かなかったのだろう。局長がなまえちゃんに対して敬語なのを………


「助かりますよ!なまえさんも一緒にどうですか?むさ苦しい男ばかりですが…ハッハッハ」
「是非ご一緒させてくださいな」


しかも敬称すら“なまえちゃん”ではなく“なまえさん”なのだ。よくよく考えてみるとあの副長ですら敬語だった事を思い出した。…嘘だろ。もしかしてこの子、いや…この人は………局長よりも年上なのか!?だとしても説明がつかんじゃないか。肌艶だってどう見ても若いし、振る舞いも年頃の娘その物だ。そんな事ばかりが頭を巡っている間になまえちゃんは行ってしまって、聞きたい事は結局聞けず終いだった。

―――年齢不詳なのはあんたの方だ。
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