それからはなるべく自分を偽って愛想笑いばかりして。噂話をかき消したい一心でふたりの家にそのまま住み続け、真相を知りたくて真選組の門を叩いた。馬鹿正直に顛末を話しても時間の無駄だと言わんばかりに隊士希望として。女中希望にしなかったのは旦那を殺した奴をこの手で裁きたかった、それだけだ。女だからと前線に立つ事さえあまりなかったが、これはこれで良かったのかもしれないと今なら思う。
家に帰っても真っ暗だし誰もいない部屋の中で愛を叫び続けても、心は乾いたまま一向に潤いはしなかった。強がってみた処で所詮仮の自分。想い続けたところで解消しきれないもどかしさを埋める為に彼を利用した。女には困っていなさそうだったし後腐れない関係を望んでいたが、其れは私の方だけだったようで…悪いことしたなぁ、なんて言葉を呟いてみたところで罪悪感はなくなりやしない。
そんな私の心を抉るかのようにあの男に魅了されてしまったのだから、もう笑うしか無い。同い年で童貞
―――もし明日死ぬとしたら、最期に抱かれるのはあなたがいい。
掴み損ねた彼の心を、私の我儘で誤魔化した。