乱数くんのATMシリーズ続編 じゃくらいせんせい。




「風邪、だね」
「風邪、でしたか。」


乱数君のATMからセフレになり、三日三晩のおしおきセックスを終え晴れて彼女になりました。こんにちは私です。

あれからというもの、特定の彼女を作らないはずの乱数くんとお付き合いをはじめ、本当に起こっていることか分からないながらも疑心暗鬼に幸せに暮らして居ました。
乱数君の為に乱数君の家の空気清浄機を買い直したりだとか、これまでセフレがそんなに出しゃばっても…と思い、していなかった食事の管理として、乱数くんの好きなご飯の研究をしてみたりだとか、いろいろ。


乱数くんと出会う前、神宮寺先生とは何回か、実は会ったことがあります。

神宮寺寂雷その人は、とんでもなく凄腕の医者でありながら貧しく、医療の受けられない人に無償で治療を行う神様のようなお医者様、だと職場の先輩が崇拝していて。

崇拝も度を越すとどうやらストーカーみたいなものになるようで、半ば押し掛け女房のように彼女は神宮寺先生の病院の看護婦として無給で働くようになりました。
何回も付き合いで寂雷先生の病院には足を運びました。

そして、2人の角度によって巻き起こるトリックアート的なツーショット写真なんかを乱数君盗撮で鍛えたこの腕でバレないように撮りまくりました。そのことは寂雷先生は知りません。ごめんなさい、と心の中で合掌します。

その先輩は今も私の病院で時折派遣として働いて生計を立てながら、神宮寺先生のもとでも働いていて。
ある時から、その先輩が無理をしていないか少し心配で、私自身が体調が悪くなったり変化があったときは、お金をちゃんと払って神宮寺先生とその先輩の元へと行くようになりました。

そして私は今日も今日とて熱っぽく、神宮寺先生に診てもらおうとやってきました。


「でも大分疲れているようだね。ちゃんと睡眠は取れているのかい?」
「あー…実は最近彼氏ができまして。その、あまり。」
「それは…仲のいい事はとても良いことだけど、何事も程々が大事だよ。今日は薬を出すから、ゆっくり寝て休みなさい」
「そうさせて、もらいま「ジジイー!?イチローに聞いたんだけどお前もそろそろ春が…きた…って、


ここで何してんの?」


バタン、と大きな音が聴こえて振り返ると、今までここではあった事のない乱数君。
上機嫌だった彼の表情が、どんどんと歪んでいくのがわかります、乱数くんのメスとして人間関係もリサーチ済み。私がこうしてかかりつけ医に寂雷先生を選んでいることを知ったら嫌がるだろうと分かっていたから、今まで知らせていなかったのに!


「ら、乱数君。こんにちは」
「乱数君…ドアは静かに開けなさい。今は診察中だよ。」

おずおずと乱数君に声を掛け、寂雷先生もその後に呆れたように声を掛けました。


「イヤイヤイヤそんなのもうどうでもいいから。なんで僕の彼女がここにいるのぉ?何、2人、知り合いだったの?

僕知らないんだけど。なんでよりにもよってジジイなの?
まあいいや、もージジイの春とかどうでもいい、家に帰ろう。外に車あるし」


見る見るうちに不機嫌になっていった乱数君は私の腕を引いて立ち上がらせます。

…怒った顔の乱数君も可愛いなあ、なんて私の顔はついついにやけてしまいました。
だって付き合ってからというもの、あまりこういったように怒った顔なんて見ることがないんだもの!!そりゃあ嬉しくもなりますよね!?


「あ、乱数君。彼女は風邪を引いているから、キチンと暖かくして休ませてあげるんだよ。」
「…は?風邪?」
「乱数君、その、仲が良いのはいい事だけれど、彼女の事もきちんと考えてあげるべきなんじゃないかな」
「………帰ろ。薬ちょうだい、寂雷」


寂雷先生の気遣いに感動しながら、じーんと噛み締めていれば、乱数君は俯いて。
わたしをぐいぐい引っ張って歩き出しました。
…あ、わたし、まだ寂雷先生にお礼を言っていない。


「ありがとうございました!寂雷先生!また来ます!」
「または無いよ、バカ」


拗ねながらわたしを連れ出す乱数君にズギュンと打ち抜かれながら、私は家に帰り乱数くんから手厚い看病を受けるのでした。



…その内容は、ご想像に、お任せします。








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