忘れ得ぬ色彩


わたしのお母さんとお父さんはとてもやさしくて、綺麗でかっこいい。
お爺ちゃんも、名前には難しい言葉を話しているけど、お爺ちゃんが来るとにぎやかでたのしくって、だからお爺ちゃんも大好き。
弟の承太郎もすき。
わたしとちがってお母さん似の緑色のびーだまみたいに綺麗なおめめに、女の子みたいに可愛いくて、きれいな弟はわたしのじまん。
わたしの家族はきらきらしていて、みんな名前ちゃんいいなぁって言ってくれる。
承太郎はわたしの2個下だけど、おとなしくて、ひっこみじあんで、いつもわたしの後ろに隠れてる。けどお姉ちゃんの私よりもかしこくて、名前ちゃん名前ちゃんって私の後ろをいっしょうけんめい追いかけてくるの、すごくかわいい。大好きな弟。
わたしは弟みたいにお父さんやお母さんにはにていないけど、おじいちゃんはこのあいだ優しい英語でわたしに、名前もいつかお父さんやお母さんみたいに綺麗な大人のお姉さんになれる。名前はいまでもやさしいいところがお母さんにそっくりだよって言ってくれた。
だからわたしは、家族がだいすき。
わたしもいつかお父さんやお母さんや承太郎みたいに、3人にそっくりな綺麗でやさしくて、かしこい女の子になるんだ。












「名前ちゃん、名前ちゃん名前ちゃんはぼくのお姉ちゃんだよね?」

小学校の帰り道。6年生にしつこく絡まれていた承太郎をリコーダーを振り回して助け出して、弟が口に出した疑問に自分も一瞬顔をゆがめてしまった。
2年生の承太郎は、最近背が伸びてきて、2年生には見えないからかよく意地の悪い高学年の生徒に絡まれることが多くなった。
お姉さんの自分がいつも帰り道に一緒に帰っていたのに、今日はうっかりうさぎ当番だったせいで弟を1人で帰してしまった。


「当たり前でしょ!承太郎は私の弟だよ!」
「そうだよね……お姉ちゃん」
「そうだよ。承太郎お姉ちゃん目をみて、お姉ちゃんの目は何色?」
「お父さんの目と同じ色…!」
「だから、ちゃんと承太郎のお姉さんだよ」
「うん……」
「ほら、手繋いで帰ろ」


弟の小さい手を握りながらも、心はどこか不安だった。
承太郎はきっと、私達が似ていないから何か嫌な事を言われたんだろう。
正直に言えば名前だって、その事を気にしてないわけじゃなかった。
兄弟なのに全然似ていないね。なんて承太郎よりも自分の方が何気なく友達に言われる。
それどころか華やかな両親にも似ていない地味な自分の事を、むしろ自分の方が気にしていた。
小学校一年生だった時、悲しくなってしまって同じような事を自分もお母さんに聞いてしまった。

『おかあさん、名前きょうゆうとくんに、おまえみにくいあひるの子みたいだなって、ほんとに…おかあさんの子供なのかきいてこいっていわれちゃった』

お母さんはとても悲しそうな顔をしていた。
なんだかその顔を見ているととても悪い事をしてしまった気がして、自分も悲しくなってしまったら
おかあさんは名前の眼の色はお父さんと同じで、"おかあさんは名前のおかげでお父さんがいなくても寂しくない。もしかしたら将来名前は白鳥みたいにお母さんよりずっと美人になるかも"って、そう言ってくれた。
それから自分は周りに何を言われてもおかあさんのその言葉を思い出すと、嬉しくなって周りに言われる事なんてどうでもよくなってしまう。

大きい家の門を潜って玄関に入ると、お母さんの作るごはんと、おじいちゃんの大きな声が聞こえた。


「あっ!!承太郎、お爺ちゃんきてるよ!」
「本当!!お土産あるかな!!」
「あっ!?こら承太郎!!」


すっかりはしゃいで玄関に靴を脱ぎ散らかした弟は、リビングに駆け込んで行った。


「もぉ〜、承太郎靴ちゃんと揃えないとだめでしょ!」


弟の靴を揃えていると、地面に大きな影ができる。
顔を上げると、大きいお爺ちゃんがにっこり笑って名前を見下ろしていた


「お爺ちゃん!!」
「名前は偉いのぉ……!お土産買ってきたぞ!」
「うわぁ!!ありがとう!!お爺ちゃんだいすき!!」


くしゃくしゃと頭を撫でられて、嬉しくなってお爺ちゃんに抱きついたままおかあさんが晩御飯の準備をしている台所に入った



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