不器用だって、それでいい







「はい、出来たよジュダルくん」


綺麗にとかしたジュダルくんの髪を三つ編みにしてあげて、ポンッと肩を叩く。


「おっ、サンキュー…


って……なんだこれ、すげー綺麗じゃん!お前ヤバいな!」


三つ編みを手にとって目を輝かせるジュダルくん。


「大袈裟だなぁ…。君がいつも雑すぎるんだよ」


「いや、お前上手すぎ!
少なくとも紅玉よりは上手いぞ!」


「…あんな人とは比べられたくないな。





………………


ちょっと待っておくれよ。君はいつもあのお姫様に三つ編みをして貰っているのかい?」


嫌な予感しかしない…。


「別にいつも、ってわけじゃねえよ。
正直銀行屋の方が巧いし、時と場合によるんじゃねえの?」


「銀行っ…!?
あの人三つ編み出来るのかい!?」


全く想像出来ないんだけど…!


「お前アル・サーメンの幹部なめんなよ。
誰が俺を18年も育てたと思ってんだ」


「君の世話を18年も見続けたことだけは評価……同情するよ」


「お前、意外と失礼な奴だな」


「君限定でね」


「…可愛くねえやつ」


「君限定でね」


まだ何か言いたそうなジュダルくんを無視して、今一番確認しておきたいことを聞いてみる。


「…一応聞くけど、君は三つ編みできないんだね?」


「現在練習中だぜ!!」


「あぁそう」


やっぱりか。


「ってなわけで、やらせろ」


「まぁ、別にいいけど…」


手をワキワキさせているジュダルくんを見ながら髪を後ろに流す。


「変なことしないでね」


「任せろ!」








―数分後―



「ふう…。おいチビ!出来たぜ!」


「どれどれ…って………






ジュダルくん、何なんだいこれは」


出来上がった代物に眉をひそめる。


「三つ編みだ!」


「これが?」


「おう!」


「どこが?」


「この辺とか…あっ、こことか綺麗じゃね?」


なんとも誇らしげに語ってくるジュダルくんだが、誰がどう見たってグチャグチャに絡まった髪にしか見えない。


「えっ…と…君らしい仕上がりだとは思うよ」


「…イヤミか」


「まぁ…ね…」


控え目に言ったつもりだったのだが、僕の反応にジュダルくんがどんどん不機嫌な顔になっていく。


「あーあー!悪かったな下手で!気に入らないなら自分でやり直すなりアリババクンにやってもらうなりするんだな!!」



「どうしてアリババくんが出てくるんだい…」


意味が分からないんだけど…。


「うっせー!じゃあなチビ!」


「あ、うん。じゃあね」


一応挨拶はするんだ…。




引き留める隙もなくさっさと帰ってしまったジュダルくんのことを考えると何とも言えない気持ちになり、僕はただボーっとベッドの縁に座っていた。









「うおっ!?どうしたんだよアラジン!三つ編みがぐちゃぐちゃだぞ!?」


暫くして部屋に入ってきたアリババくんが驚きの声を上げる。


「あぁ…。まあね」


何と言ったらいいものか…。
素っ気ない僕の返事に、アリババくんは心配そうな顔をした。


「調子悪いのか?なんだったら、俺が結い直して…」


「ううん、これでいいのさ」


僕の言葉にキョトンとしたアリババくんに笑いかけながら、僕は不細工な三つ編みを優しく撫でた。













「次会うのが楽しみだなぁ」







今度はもっと、上手くなっててね?







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