今日は何の日?
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シンドバッドおじさんが
唐突にこんなことを言いだした。
「そういえば、今日は2月14日だな」
やけにウキウキしている
おじさんの方をその場にいる全員が見る。
でも、その言葉に込められた意図を僕は理解することが出来ない。
「2月14日だと、何かあるのかい?」
僕がそう言うと、さっきまでおじさんに向けられていた視線が一斉に僕に集まった。
「お前、バレンタインデー知らねえの?」
アリババくんの問い掛けに僕はコクリと頷く。
すると、おじさんの隣にいたジャーファルおにいさんが優しい口調で説明してくれた。
「今日2月14日はバレンタインデーと言って、親しい人や好きな人にチョコレートを贈る日なんですよ。
普通は女性から男性に贈られるものですが、最近は同性同士で交換したりするみたいですね」
「へぇ……。じゃあ、モルさんも誰かにあげるのかい?」
「い…いえ、私は………」
「え………。モルジアナくれないのか………?」
首を横に振るモルさんを見て、アリババくんの顔がみるみるうちに陰っていく。
貰えないことがそんなにショックなんだろうか…。
「その、差し上げたいのはやまやまなのですが……チョコレートのような嗜好品は高価ですし、私にはちょっと手が出せなくて……」
俯くモルさんに、おじさんが微笑む。
「材料の心配なら無用だぞ。なぁジャーファル」
「えぇ。確か、デザート用に保管してあるチョコレートがまだ残ってるはずですよ。
せっかくですから、3人でチョコレート作りでもしてはいかがですか?
いつも修行を頑張ってるんですし、今日くらいはあなた達の師匠も見逃してくれますよ。ねぇ?」
ジャーファルおにいさんの言葉に、ヤムさん達もうんうんと頷いた。
「俺も今日は街の女の子達に会いに行く予定だったし、別に構わねえぜ。
あ、その代わりチョコ完成したらよこせよアリババ!」
「たまにはこういう息抜きも大切よね。ただ、チョコ食べ過ぎてまた太ったりしないように注意してね」
「まぁ……たまにはいいんじゃないすか」
それぞれの師匠の承諾を得たことを確認し、ジャーファルおにいさんも頷く。
「それでは調理場に案内するので、私について来てくださいね」
「じゃあ俺も……!!」
「あなたは仕事を片付けることだけを考えて下さい」
「あ、はい………」
ジャーファルおにいさんに制されうなだれるシンドバッドおじさんを背中に、僕達は部屋を後にした。
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