(俺+お前)×依存A
![](//img.mobilerz.net/sozai/1617_w.gif)
アラジンside
窓から差し込む太陽の光と小鳥たちの囀りで目が覚めた。
今日もまた、いつもと変わらない一日が始まる。
「あっ。アリババくん、
モルさん、おはよう!!」
朝食を取り部屋を出ると、見慣れた姿が目に入り声を掛けた。
「おう、アラジン」
「おはようございます」
見ると、どうやら2人は
どこかへ行く途中だったらしい。
「2人で朝から何処に行くんだい?」
僕の問いに、アリババくんが気まずそうに答える。
「あー……実は、シンドバッドさんに呼び出されて」
「おじさんに?」
自分には知らせずにこの
2人だけを呼び出すなんて、何か自分に聞かれては
マズい話でもあるのだろうか…。
「それ、僕も付いて行っちゃ駄目かなぁ?」
遠慮がちに聞いてみる。
「それが、アラジンは連れて来ないでほしいと……
シンドバッドさんが」
やっぱり。
「俺とモルジアナだけってことは、多分眷属器のことだと思うんだよ。シンドバッドさんとしては、その間にもアラジンに修行してほしいんじゃないか?」
アリババくんが焦りながらそれらしいことを言ったけれど、多分僕に関係する話なんだろう。
「そっかぁ……。おじさんがそう言うなら仕方ないよね」
「お…おう。悪いな」
「じゃあね」と笑顔で言って2人と別れる。
自分のことでどんな話をするのか少し気になったが、それは後で聞けばいいだけのことだ。よっぽど悪い話でない限り、少しくらいは教えてくれるだろう。
僕はふっと息を吐き出し、自分の部屋へと戻った。
(なんだかなぁ……)
ここ最近、色々と調子が悪い気がする。
身体的にも、精神的にも…
あの人が来なくなってから
(でも、来ないでって言ったのは僕の方だし…)
慌てていたとはいえ、あの別れ方はかなりマズかった。
理由も言わずに一方的に突き放しておいて、今更寂しくなるなんて……
(そんなのダメだよね…)
自分の我が儘でジュダルくんを振り回したくはない。
(会いたいなぁ)
まさか自分がここまで彼に依存しているなんて思いもしなかった。
ジュダルくんと会わなくなってから修行にも身が入らず、ヤムさんに何度も注意を受けたり、アリババくんの話が全然頭に入ってこなかったり……。
(ほんと、僕ってダメだなぁ…)
そんなことを考えるのも辛くなってきて、僕は修行をしてもらうためにヤムさんの所へ行くことにした。
――――――――――
―――――――
―――――
―――
「じゃ、今日はこのへんにしときましょうか」
定時の鐘もまだ鳴っていないのに、ヤムさんは修行を切り上げるように言ってきた。
「え…でも、まだ終わる
時間じゃ……」
「たまにはいいのよ!
アラジンくん、最近疲れてるみたいだし。
それより、ちょっとお話でもしない?」
「お話……?」
「そ。師弟の絆を深めるためってことで。
どうかしら?」
「うん、いいよ」
僕がそう答えると、ヤムさんは微笑んで話を続けた。
「まず、一つ質問しても
いいかしら?」
「うん」
ヤムさんが、ジッと僕の
目を見つめる。
「最近、悩み事があったりしない?」
「えっ!?」
いきなり直球な質問をされ、僕は思わずたじろいでしまった。
「よかったら聞かせてくれない?」
「え、いや、その…。
悩み…とか…は……無…い」
「本当に?」
「本当だよ!!」
「ふぅん…。それならいいんだけど?」
ヤムさんは納得しきっていなかったようだが、その後は他愛も無い話を二人でした。誰かと楽しい会話をするのはとても久しぶりに感じて、本当の笑みをこぼしたのもあの時以来だった。
→