(俺+お前)×依存A
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夕食を終え、自室に戻る。
いつものように部屋の窓を開けて外を見た。
前まで彼が頻繁に出入りしていた窓。しかし、今となってはその役割を果たすことはなくなっ―――――
「ちょっ……チビィィィ!!
そこどけぇぇぇぇぇ!!!!」
「えっ………は!?
ジュダルくん!?」
はっきりと彼の存在を確認する前に彼は凄い速さで窓から部屋に侵入し、壁に激突して止まった。
「ってぇ……。おい、怪我してねぇか?」
いつもの彼がそこにいた。
いつものように突然現れて、いつものように僕のことを気遣ってくれて、いつものように笑いかけてくる。
幻なんかじゃなく、僕の目の前にいるんだ。
「どうした?どっか怪我でもしたのかよ……って
うおぁ!?」
無意識のうちに僕はジュダルくんに抱きついていた。
恥ずかしいとか、照れくさいとか、そんな感情お構いなしに、考えるよりも早く体が動いていた。
「どうしたんだよチビ…」
僕の唐突な行動によっぽど驚いたのか、ジュダルくんの声は少し動揺しているように聞こえた。
「……たかったから…」
「…は?」
「ずっと、ジュダルくんに会いたかったから…」
「え……」
「も…会えないと思ってて。ジュダルくんと、一生離れ離れのままになっちゃうって……だから…」
涙が頬を伝った。
せっかく会えて喜ばなくちゃいけないのに、涙が溢れ出すのを止めることが出来ない。
「ばっ……泣いてんじゃねぇよ…」
「ごめっ…。でも、嬉しくって。こうやって君に触れられるのが、嘘みたいで…」
僕がそう言うと、ジュダルくんも僕を抱きしめてくれた。
力強く、でも優しく。
ふと、肩の辺りが冷たくなっていることに気付いた。
ジュダルくんも泣いてる。
「ねぇ、そろそろ離してほしいかも……」
「まだ駄目。もうちょっと」
「泣いてるのがバレちゃうから?」
「は!?泣いてねぇし!!」
そう言ってジュダルくんは勢いよく顔を上げた。
が、その目は赤く腫れていて、目尻にはまだ涙が溜まっている。
「べっ…別に泣いてなんか……泣いてなんか…」
「ウフフフ。お互い様って感じだねぇ?」
僕が笑いかけると、ジュダルくんもいつもの皮肉っぽい笑みを浮かべた。
「はっ。俺よりお前の方が明らかたくさん泣いてたけどな!」
「えーっ。そんなことないよぅ」
こんな、何でもないような会話でさえ幸せだと感じる。それが嬉しくって、僕はまたジュダルくんに微笑みかけた。
すると、ジュダルくんは顔を真っ赤にして下を向いたかと思うと、おもむろに顔を上げ、僕の目を見つめた。
「なぁ、目閉じて欲しいんだけど……」
「…へ?なんで?」
いきなりの彼からの要求に僕は困惑した。
「いいから、目閉じろ。
んで、俺がいいって言うまで絶対に開けるなよ!」
「う…うん。分かったよ」
彼の指示通り、目を閉じる。
視界が遮られ少し不安になりつつも、目を開けることはしない。
視界を覆う暗闇に慣れたころ、それはほんの一瞬の
出来事だった。
自分の唇に、僅かに熱を
帯びた柔らかいモノが押し当てられた
「んっ………」
「目、開けていいぞ」
「…うん……」
ボーっとしていた意識が
徐々に鮮明になってきた。
そして、自分がされたことを理解する。
「……っ!」
自分の顔が熱くなってるのが分かった。
「これが俺の気持ちだ。
遊びとか、馴れ合いとか
じゃなくて
真剣にお前のことが好きだ」
彼の言っている言葉の一つ一つが嘘みたいで、夢でも見ているんじゃないかと
錯覚を起こしそうになる。
「本当……に?」
嘘じゃない?
「何回も言わせるなよ…。それとも、俺のことが信用できないのか?」
その言葉に、僕は慌てて
首を振った。
どうしよう
嬉しい……
頭の中で色んな感情が混ざって、自分でもよく分からない。
よく分からないけれど、
自分の想いもジュダルくんに知ってほしくて。
伝えたくて………
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