苦悩、発覚、距離



アリババside



どうも、
アリババ・サルージャです。

突然ですが、最近………


アラジンの様子がおかしいわけで。

話し掛けてもぼーっとしてるし、夜中にはたまに独り言のようなものも聞こえる。

ウーゴくんが消えたショックからきたものだと思っていたが、どうもそうではないらしい。


夜になるにつれて元気になっている気がするし、毎晩部屋の窓を開け放っている。


(おかしい……)


だが、確認しようにも部屋が遠すぎて中の様子が見えない。
流石に屋根の上を歩くわけにもいかないし……。


(どうしたもんかなー…)


別に、変なことをしているのではないかとアラジンを疑っているわけではない。
前よりも元気になったようにも見えるし、むしろ良いことなんだろうが……


(気になる……)


今、俺の心を支配しているのは好奇心以外の何者でもない。


真相が知りたい……





とまぁ、こんなわけで俺は今アラジンの部屋の前でドアに耳を押し当てている。

決して、盗聴などではない。俺はアラジンを心配しているんだ。それだけだ。
それだけのハズ……だ。
息が荒いのも気のせいだろ。

俺だって一応王子だぜ?
紳士だぜ?
全てはアラジンという友のためだ!




(それにしても……)


さっきから耳を澄ましているのだが、これといった会話は聞こえてこない。

多少の防音設備は施されているのだろうが……。


(やっぱ、気のせいだったのかな…)


親友を疑うなんて、俺も
どうかしてたかな。
大体、アラジンみたいな素直なやつが俺に隠し事するわけないしな。うん、俺の考え過ぎ―――――





「……ぉ……。……も来て……ぞ…」


「…ぁ、……ば……。今日も……ね……」





じゃなかった。

え?え?
今、声したよね?
独り言じゃなく、 会話してたよね?
しかも、結構親しげなんですけど!?マジで誰だよ!!
なんで深夜なんだよ!!
ナニやってんだよぉぉぉ!?

しかも「今日も」って……
何?毎日話してんの?

本気で誰だよ!!
声からすると男であることは間違い無さそうだな。


(まさかジュダ――――)


いや、ないないない。
それはないだろ。

あいつがこんな所まで毎日来ると思うか?
否!奴に限ってそんなことは無い!

じゃあ誰だ?
考えろ……
考えるんだアリババ!!



「あ…っ!」



そうだ…









ジャーファルさんだ









そうか…そうだったんだ!

アラジンを心配したジャーファルさんが毎日話し相手になってあげているに違いない!

なんだよー。心配して損したぜ。

深夜なのは、日中はシンドバッドさんの代わりに仕事をしていて忙しいから。
窓を開けているのは部屋が暑いから。


謎はすべて解けた!!


(あー、スッキリしたわ。そろそろ部屋に戻るか…)





「……こんな深夜に、君は何をしているんですか?」


「…………へ?」





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