求める 「サスケ?」 呼ばれて、はたと気付く。見つめ過ぎた。そっぽを向いていたはずのなまえは視線を感じてか、いつの間にか振り返っていた。それに「なんでもない」、と返しかけて、ふと口をつぐむ。なんでもなくは、ない。なまえは不思議そうに小さく首をかしげ、疑問を示す。 「…」 「なに?」 「……」 手招きをして、こいこいと、なまえを呼ぶ。離れた場所で漫画を読んでいたなまえは一旦それを置いて、素直に寄ってくる。なまえのベッドに座っていた俺の、隣に座ったから、膝の上を軽く2回叩く。すると流石に抵抗があるのか、「ええっ」と言って躊躇う。 「やだよ重たいもん」 「重くない」 「…最近ちょっと太った気がするし…」 「知ってる」 「(ガーン!)」 「いい感じの肉付きになってきたよな。ほらこい」 「い、いやだ、そんなこと言われて誰が行くもんかっ」 しかしもうとっくに手の届く範囲、捕まえるのは容易かった。腹に回した両腕で押さえ、しばらく抵抗して、やがてすっかり大人しくなると、満を持して膝の上へ移動させる。やはり恥ずかしそうに気まずそうにもじもじとしながら、しかし逃げようとはしない。こいつかわいいな。 「(かわいいなこいつ)」 「お、重いでしょ…」 「別に。気にならない」 「そ、そう…?」 そぉっと頬の赤を濃くする。ああ、うん、かわいい。欲しい。 ぐっと肩口に顔を埋めて、首もとに啄むようなキスをする。うわっ、と驚きの声を上げて少し距離を取られるが、すぐに抱き寄せて詰める。こんな所でダメ、とか、いやだ恥ずかしい、とか、まだ明るいからやだ、とか。何を言っても逆効果。こんな所だから燃えるし、恥ずかしがるからこそかわいいし、見える方が嬉しい。 「も、サスケ、っひゃ!」 なまえごと体を反転させて、ベッドの上に押し倒す。怯んだ隙を突いてまたキスをして、一層雰囲気を煽る。赤い耳がかわいらしかったので咥えて、舌でそろりと舐め上げる。そうすると驚いたように肩を震わせて、小さく声をもらした。高い声。 「ん…かわい」 「ャっ、…っ」 耳を執拗に舌でいじめ、犯していく。耳殻では飽き足らず、穴の奥まで舐めようと舌を伸ばす。なまえにはきっと、唾液のくちゅくちゅという音が、極限まで近く聞こえているだろう。力なく肩に叩くように乗せられた拳は、なまえの状態をよく表していた。 「ぅっ、…ふゥ…ッ!」 「…キモチイか?」 「やッぁ、ダメだってば…!」 クーラーのよく利いたこの部屋ではやはり、あまり汗も掻かない。さらりとした肌を滑るように唇を下ろし、うなじに吸い付く。うっすらと涙を浮かべたなまえが抗議するが、そんな力の抜けた声では聞く気にならない。 少し体を起こして目を合わす。困ったようなその目に、吸い寄せられるように唇を重ねた。 「今、欲しい」 「…!」 「待てない」 素直に今の気持ちを吐き出せば、ますます困った顔になる。嬉しいけど、ダメだけど、嬉しい、みたいな。2対1で嬉しいの勝ち。マジでかわいい。マジ欲しい。欲望に逆らわず唇を押し付けた。 求める (20100814) 夏だからって盛り過ぎですね [←] [→] 戻る [感想はこちら] |