傷つく 「うん、ずっとトモダチでいようね」 ああ鈍感な女だ。 割と勇気を要して言った筈の言葉は、彼女にとっては何でもない言葉として受け取られてしまった。俺の勇気返せ。バカ女。 「……」 「ぇ、…あれ? サスケどうしたの、おなかいたい?」 「…おなかじゃなくて、ムネが痛い」 「ええっ! タイヘン、しんぞうのびょーきかも!」 もうコイツどうにかしてよ! 縁側で一緒に座って、手だって繋いでるのに、何故伝わらないんだろうか。繋いだ手から俺の気持ちがツーッと通ってなまえに届けばいいのに。 「…バカなまえ、オレのはそういうんじゃなくて…」 「? だいじょーぶなの?」 「……あんまだいじょうぶじゃねーけど」 埒が明かない。なまえの様子から、全く通じてないらしいことを感じる度に、俺としては一世一代くらいの気持ちで言ったさっきの言葉が、空中でカラカラと空回りするようでかなしい。 「サスケ、よくわかんないよ。なんでうれしーこと言ってくれて、あたしがそれにこたえたら、むねがいたくなるの?」 「……ちがうから」 「? なにがちがうの?」 「ちがうんだよ」 「…??」 「……」 ここまで分かってもらえないと、もう友達でいいよ、と諦めてしまいそうだ。 「好きだ、ずっと一緒に居て欲しい」 「うん、ずっとトモダチでいようね」 「…」 実際にも友達として、になりそうで、俺はぶろーくんはーとってやつだった。 傷つく (20100810) [←] [→] 戻る [感想はこちら] |