ワンパターン戦法
スノウ姫が見事勝利を納め、Vサインを決めて無事帰還。適度に馴れ合った後議論になるのは次の出場者。そこの金髪二人は相手が決まってますしいつも通り「それじゃあ」と、アルヴィス君ジャック君相手に手をふりかざしたところでワカメ頭から指名が入りました。私に。


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「名指されたので出てきました。」

そう言っておおまかな試合開始位置に着き適当に顔を合わせ、流れるようにポズンから試合開始の第2コール。
相手の名前グルー、クラスはビショップ、しつこいようですが頭はワカメ。

グルーは初手にウェポンARM『キラーメイス』とやらを発動、対する私はいつもの通りウェポンを発動、そのままイマイチスタートダッシュを決めにくい地面を蹴り相手に接近、相手も接近、私にしては珍しく敵相手と武器がぶつかりあう交戦に発展。

攻撃を右に流し左に流されフェイントをかけるも相手は乗らず。
何の面白味のない単調な攻防戦が続きます。

うーんなかなか隙を見せてくれませんね、普通のビショップ相手になら武器を弾いて右ストレートでぶっ飛ばす、とか出来そうなんですが(多分)
流石は指5本には入る上級ビショップと言ったとこでしょうか。

なんて考えているとこっちの方が武器を弾かれかけ若干隙が出来たのでこりゃ次は大きいのが来るなと判断。ギリギリで受け身を取る形にハンマーを構え直し、案の定大きめの衝撃を受け、そのまま勢いで宙を一回転。数歩離れた所に片手を付きズサァっと無事着地。さて次はどうやって攻めたものでしょう。

「ハッ、大したこと無いな。
こんな奴倒して昇級可能とかチェスの兵隊も温くなったもんだ。」

なんか鼻で笑われました、どうやら私を倒すと昇級が可能らしいですね。
私、と言うかメンバーの誰かを倒せたら昇級出来るのでしょうね。実質私そこまで強くありませんし。

勝利を納めたチェス…
と、なるとあの後ロコちゃん辺りはビショップにでも昇級したんですかね、パノは再戦で負けちゃいましたしどうでしょう。ロラン?んー…上級ナイトにでもなったんじゃないでしょうか。
まあそれはともあれ、

「良かったじゃないですか、私倒せたら次はナイトですね。」

「ああ、そうだ。キサマの…せいでな。」

私の"せい"で?昇級出来るのに?文法おかしくないですか?あれ、なんか身を抱えて震え始めましたしちょっと様子がおかしいですよ。

「キサマの、キサマのせいでな、キサマの、キサマの、キサマの、キサマのせい、キサマの、キサマの…キサマのせいでぇえ!!死ねっ!!ウェポンARM『バトルカトラリー』!!!」

ゲシュタルト崩壊する程のキサマ連呼に続き、勢いに任せ目の前の相手はウェポンを発動。
敵の周囲にフォークスプーンナイフのお食事セットがいくつか現れ、ああこりゃこっちに飛んできますねと判断するとほぼ同時に攻撃が始まりました。

避けながら瞬間的に次々と飛ばされるそれらの行方を追うと、周囲に転々とあった岩の一部がスプーンによってバターでも掬うかのような滑らかさでえぐりとられました。
ナイフも同様に岩を真っ二つにしてますしフォークはその辺に刺さってます。

どれも当たったら手遅れになりません?これ。

必死でバトル…バトルなんでしたっけ?を弾き避けつつどうにか相手に近づこうと試行錯誤していると後ろで「怒りで魔力が上昇してる」などと見ればわかることをアルヴィス君が冷静に大真面目に実況していました。
楽しいですかアルヴィス君。
どうせならもっとARMの解説とかその弱点とか有力な情報下さいアルヴィス君。

「すまん、よく知らないARMなんだ。」

知らないんですかい。

まあいいです、取り合えず視界を塞がせて貰いましょう。
バトルなんちゃらは殺傷能力は高いようですが直線的に私に向かって放たれているのを見る限り追尾機能を持っている訳では無いようです、恐らくあれは術者の視界依存。

と、言うわけでハンマーを巨大化させ、そのまま勢いに任せてぶん投げました。
相手は後ろに下がり避けましたが、落ちたハンマーが作り出した砂の波紋が相手に降りかかり、狙い通り一時的に目を潰す事に成功。

ARMの狙いが的確性を失い、まばらになったので一番攻撃の層が薄いところを選びうまくハンマーを回収しつつ特攻、攻撃範囲に入った所でARMの破壊も兼ねて斜めに叩きつけるよう降りました。

SMAAAASH!!

そう、こんな感じで致命傷、与えられたと思ったんですけどねぇ。相手が咄嗟にディメンションを発動し、スレスレで避けられました。

金属の破片が飛び散ったのでARMの破壊には成功したようですが。

ディメンションによって少し離れた場所に現れたグルーが息を切らせながら「目潰しとか汚ねぇぞ!」と叫んでいました、汚くない。

「私、大したこと無いので小細工使うんです。ついでに私、あなたに怨まれる事した覚えが無いのですが」

「なら教えてやる、俺はキサマのせいでナイト級から格下げされたんだ。」

一方的な因縁、3度目(2ND、3RD、今回)

そりゃ3RDバトルのあれは恨まれても仕方無いと思いますが今回の階級云々に関しては私関係無いじゃないですか。
そう直々に伝えたら関係あると怒鳴られました。

4THバトルでレプ公が私に快勝を納めた功績を讃えられてナイトに繰り上げ。
白羽の矢が立ったワカメがビショップに降格。

成る程。シンプルでわかりやすい。そしてどうでもいい。

「それって奴当りじゃないですか、文句があるならファントムかあの女に言って下さいよ。」

「うるせぇ!!んなこと出来るか死ね!!ガーディアンARM『アンフィスバエナ』!!」

逆上されました、さらにガーディアンを出されました
ガーディアン『アンフェスバエナ』は両端に頭を持つ双頭の蛇。
口から禍々しい色の息が漏れてます、口から垂れた液によって砂から煙が上がっています。はい、どう見ても毒です。
酸と言い毒といいどうしてこうもまあ心底嫌なのに当たるんでしょう。

あれをどうにかするには…毒避けにハンマーを盾に突っ込みそのまま叩きつけるのは無謀、頭が二つありますし間違いなく背後からも毒を噴出されるでしょう、避けきれる気がしません。接近してガーディアンを倒すのは厳しいですね。
うーん、少し分が悪いですね。どうせ相手は今まで私の出したARMの対策はしてるでしょうし使っちゃいましょうか新ARM。

カルデアで貰ったARMは二つ、ウェポンとガーディアン。
ガーディアンは癖が強すぎるお陰で後の試合のコンディションにも響きそうなので脚下。

と、なるとウェポンに絞られますが…
正直これを使うにもまだまだトーシローレベル。慣らしてから使いたかったのですがやむを得ませんね。

「ウェポンARM『スナイパー』」

狙撃銃型のウェポンARM、便利な魔力感知レーダーと追尾機能着き。
込めた魔力がエネルギー弾に変換。

夜中に眠れないまま確認した安全装置を素早く外し、ガーディアンの影で捕らえきれない相手の位置を把握する為スコープに着いたレーダーを確認。膝を落とし、レーダーに表示された相手の大体の位置に、照準を合わせると共に魔力を弾丸に変換、追尾する程威力は低下するので余分に込めます。

対策の取られにくい一度、今だけが好機、予想外の遠距離攻撃で何をされたのかわからないままガーディアンごと吹っ飛ばしてやります。魔弾装填。
相手からはガーディアンが死角になっていて此方の状況は見えてない筈、ガーディアンが毒を噴こうと口を開けたその時がチャンスです、体内ごと破壊し道連れに術者も吹っ飛ばしてやります。
弾の実体は魔力ですし溶かされる心配もありませんしね。

「お祈りは済んだか?死ね!!」

術者の合図と共にガーディアンが蛇とは思えない速さで接近。

タイミングを図り絶好の距離で毒を噴こうと口を開いた今、引き金を引いた。

肩が外れる程の反動を受け、後ろに転がる。慣れないままに撃った直径10cm程の弾を目で追いかけると、それは閃光を描き、ガーディアンの口の中に飲まれるように消えた。

あー…駄目でしたか。

ニヤリと笑うガーディアンと目が合い、次の攻撃までにダークネスもガーディアンも発動出来るほどの魔力を練るには時間が足りないなと考えながら痛みで軋む肩を押さえ、身体を起こした。

脱臼は…してはなさそうですね。ですがこの痛みを我慢しながらハンマーを振り回すの勿論の事攻撃を避けるのも難しいでしょう。

こう言うの、詰んだって言うんですかね。
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