松1


いつものようにお弁当を作って。

いつものように朝食を摂って。

いつものように仕事へと行った。

…筈だった。

よくある…と言ってはいけないが、交通事故に巻き込まれた。車に轢かれた時、打ちどころが悪かったらしい。
僕の『前世』はあっけらかんとしないうちに終止符が打たれた。

次に目を覚ました時。

目の前に夫婦がいた。
周りには人がいた。
まだ小さな赤ん坊。
しかもそっくりな顔が僕を含めて六人。
双子ってだけでも珍しく…いや、今はもう珍しくはないか。だけど六つ子とか驚く。
最初は誰かしら死んでしまうのかと思っていた僕を余所に、みんな元気に成長した。
小学、中学、高校へと一人も欠けることなく無事に進学した。

…だけど。

「ニートたち!梨が剥けたわよ!」

「「「「「はーい」」」」」

「チョロ松行くぞ?」

「チョロ松兄さん、行こう?」

「うん、分かった」

何をどう間違えたのか知らないうちに、僕を除くみんなは立派なニートになっていました。





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