- ナノ -
 

2.追いかける 山姥切国広 極

諦めるの山姥切国広視点
「すまない、今日のおやつはまだあるか」

 厨にいる燭台切は俺を見て微笑むと、ずんだ餅が3つのった皿を渡す。視線で問おうと思った矢先、調理器具をかたし終えた薬研が燭台切の隣の椅子へ腰掛ける。

「俺っちずんだ餅はどうにも苦手でな。名無しの旦那が好きだったろ、俺の代わりに食ってくれよ」
「すまないな。ついでと言ってはなんだが名無しがアンタの薬膳粥を食べたがっていた」
「旦那は本当に物好きだよなぁ、腕がなるよ。今晩でいいかい?」
「あぁ、頼む」
「薬研くんの薬膳粥かぁ…」
「お、燭台切の旦那も食うか?」
「遠慮するよ」

 二人の軽口聞きながら厨を出て、小さく手をふりかえして歩き出す。今頃肩を落として自室に引きこもるあいつに、薬膳粥の知らせとずんだ餅は大層効くだろう。落ち込む姿を想像してあまりの情けなさに思わず笑った。



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