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キスはおやつに含まれません

?周目 P5主:雨宮蓮
年上主

 素面のキス魔ってのはこの上なく質が悪いと知ったのはコイツと出会ってからだ。年下のくせに……いや、年下だからか?見た目とは裏腹に押しが強い雨宮は、俺の部屋へ遊びに来ると何をしていても気づけば横にいて、好きにキスをし、満足したら自分のしたいことに戻る。照れる暇も与えないそれは俺よりもよっぽど手慣れていて、いったい何人の女性と関係を持てば齢15、6でこのような技術を身につけられるのか全く想像もつかない。
 それはさておき現在午後8時、男子とはいえ高校生が出歩くには少しばかり遅い時間ではなかろうか。学校から直接俺の住むアパートに来たようで、彼は未だ秀尽学園高校の制服に身を包んでいる。

「雨宮、帰りどうすんの。もう夜だぞ」
「もう少ししたら帰る。帰りたくないけど」
「はいはい、チャーハンでよけりゃ持たせてやるよ。それと、最近何かと物騒だから夜道は気をつけろよ。お前も一応こうこうせい……」

 なんだから、と続くはずの言葉は雨宮が俺の口から直接食べてしまった。それから頬に、耳に、首に触れる。どうなってやがるんだコイツの身体能力は。気配がするしないの問題ではない。いっそ忍者の末裔だと言われたほうが納得する。

「お前本当に高校生だよな?雨宮、そうだよな?」
「そうですけど?」

 答えさせる気など無いようで、くすくすとおかしそうに笑いながら持っていた菜箸を手から抜き取られる。火をまだ使っていないのが幸か不幸か、卵を溶いていたお椀も左手からいなくなった。百戦錬磨の手練れとはまさにこれを指すのだろう。1から10までどうなってやがる。
ちゅ、ちゅ、と音は聞こえど雨宮は跡は残さない。いや、残してほしいわけではない、断じて。ほんの少し意外に思っているだけだ。

「ん、お、おい、帰るんだろ?!」
「帰る。でもそのためにおやつが欲しい」
「キスはおやつじゃねえ!」

 あっという間に両手は空になり、向かい合わせになる。少し下にある雨宮は心底可愛いくて堪らないとでも言いたいような、向けられているのが俺だとはとても信じられない顔をしている。なぜ俺はたかだか高校生に押し切られ好き放題キスをされているのだろう。何がこいつの琴線に触れてこんなにも好かれているのだろう。

「おやつが駄目ならメインは?」
「俺が淫行条例違反で捕まるからやめてくれ」
「大丈夫」

 その前に俺が貴方ごと盗むから、なんて嘘と言うにはあまりに確信めいた言葉を嘯く。そこまでいうならば、今日のところは負けてやろう。まだ俺の抵抗が意味をなすうちはおやつまでだが。

「それに、お互いに真剣に交際していればセーフだ」
title by 白鉛筆