貪るような激しいキスが続く。
甘く深く、濃く刺激的に。
絡ませて、馴染ませて。
擦って、なぞって、吸い上げて。
唾液が混じり合って、もうどちらのものとも分からぬものを、コクリと飲み干し、たっぷりと味わう濃厚な甘露。


このまま、もう一度、コイツと二人で歓喜の時を……。
そう願う俺は、そのままアイリーンの身体に手を滑り落とし、背から腰へと撫で下ろした腕で更に強く、甘く香る身体を引き寄せていた。
だが、それを阻むようにアイリーンの手がグッと俺の胸を押し返したのを感じて、思わず唇を離し、その顔を覗き込む。


「どした、アイリーン?」


身体を下へ下へと探っていた手を止め、上体を起こした俺は、組み敷いたその顔を見下ろす。
先程の行為からそう経ってねぇから、まだ身体が辛いのかとも思ったが、薄っすらと上気し赤く色付いた頬は、コイツにもその気がある事を如実に語っていた。
なら、一体、なンだというんだ?


「どうしたよ? 何を躊躇う?」
「だって……、まだ、あの……、仕事、中です、から……。」


ふっくらした頬を包み込んだ手で優しく撫で、何かを言いたそうにしているアイリーンを促してやると、唇から途切れ途切れに零れ出た吐息混じりの声が、嫌な言葉で俺の動きを制止する。
チッ、思い出しちまったか。
今が、まだ仕事中だって事。
勤務中にも係わらず、俺が強引に教皇宮から連れ出した事を。


「ンなモン、俺が後から、どうとでもしてやる。」
「でも……、んっ!」


まだ抵抗を続けようとする唇を、俺は黙らせるために深いキスで塞いだ。
そのまま問答無用で、彼女の身体を開きにかかる。
もう既に数時間、ココでこうやってサボってンだ。
今更、仕事がどうのとか言ったところで遅過ぎる。


「で、デスさまぁ……。お願、い……。」


ああ、クソッ!
こんなに可愛くお願いなンてされちまったら、無理強いなんて出来ねぇじゃねえか!


俺は苛々しながら、上体を起き上がらせ、睨み付けるようにアイリーンを上から見下ろした。
目を見開き、下から俺を見上げる緑の瞳は、何を言われるのかという怖れからか、僅かながらに曇っている。


「オマエ。仕事、今日付けで辞めろ。」
「…………は?」
「仕事なンて辞めちまって、明日からはココで暮らせ。この巨蟹宮で、俺の面倒だけみてろ。」
「え? あ、あの……。」


唐突だって事は十分に分かってる。
だが、もう何もかもが唐突だろ?
いきなり連れ出して、いきなり告白して、いきなりキスして、いきなり部屋に連れ込んで、いきなりセックスして。
だったら、いきなり同棲っつーのも、あってイイじゃねぇか。
てのは、俺の勝手極まる言い分か?


「え、でも、良いのですか? あの……、私、本気にしますよ?」


この女、どンだけ俺を喜ばせりゃ気が済むンだ?
駄目だ、やっぱり抑えなンて効かねぇ。
効く訳がねぇ、こいつの一挙手一投足、その全てが俺を内側から揺さ振ってくれやがるンだからな。


「イイに決まってんだろ。そのつもりで言ってンだ。その代わり、覚悟しろよ。俺は死ぬ程、激しいぜ?」
「……そんな事、もう十分に分かってます。」


ったく、この女、最高だ。
ゆっくりと上体を下ろした俺は、しっかりと組み敷いた彼女をベッドに縫い付けて、もう一度、深く濃厚なキスを仕掛ける。
そこから先は、欲望の流れるままに、そのままに……。





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