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E Lucy Locket lost her pocket,
************************************ 「政宗!」
「うるせぇ」
足音を響かせながら現れた成実を横蹴りにした。
「なんだよ!」
「何だよ?」
脇腹を押さえてしゃがみ込み、恨みがましい目で見上げてくる成実に先を促すとあっさり機嫌を直して話し始めた。
「これ今そこで見つけた!」
「…なんだこれ…」
どう見てもただの巾着だった。
そんなものを自慢気に差し出される意味が分からない。
「貧相な…」
「政宗のじゃねぇの?なんだ!」
「huhm?」
「中身食っちゃったぜ!」
道理で団子なんか食ってる訳だ。つーかお前はこの財布がオレのものだった場合、中身を紛失しておいてどうなると思ってたんだ。
思いたくはないが馬鹿なのか?
「政宗にしてはみみっちいなって思ったんだよな!」
五本しか買えなかったぜー、と空の袋を置いたまま意気揚々と去っていく。
とりあえず拾ったという場所まで引き返してみれば都合良く床に這っている人間を見つけた。
「Hey,探し物か…っ」
声は続かなかった。床に這った人間も警戒した猫のように固まっていた。
「…あ、いや…あの……あっ!」
「……アンタのか?」
さまよっていた目が巾着で止まる。投げて渡すと飛び付いた。本当に猫みたいだとおかしくなって笑っている間に、男は慌てて中身を確かめて絶叫する。
「無い!」
「Ah、成実が団子買ってて」
「全財産が!」
「全!?」
団子五本が!?
思わず声を上げると目を光らせて睨まれた。
「給料ってものはね」
あまりの迫力に目が光ってると思ったがよく見れば涙目で潤んでるだけだった。
「どんだけ賃上げされたって払われないと何にもならないんだよ!」
血を吐くような叫びとはこういうことかと思ったがそんな内容を叫ぶものじゃないだろうとも思った。
「…中身を取り戻す方法が無くもないぜ」
「えっ?」
床に手をついたまま期待した目で見上げてくる忍びの前に膝をついてkissしてやる。
「…………」
「手っ取り早く稼げばいい、だろ?」
惚けた顔を前に、どうするかと問いながら横抱きにしてすぐ側の室に入った。畳しか無いが板間よりはマシだろうと押し倒す。
「 さ い て ー だッ!!」
そう言いながら逃げもしない、忍びとの関係なんて損得感情で充分だ。
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Lucy Locket lost her pocket,
Kitty Fisher found it;
Not a penny was there in it,
Only ribbon round it.
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マザーグース(原文)→