「あれ?お揃いで…」

天井裏から侵入した佐助は部屋にいた主従に声を掛けてから後悔した。立ったまま睨み合う二人の腰に刀が無い事が幸運だと思うくらいに険悪な空気だ。下手な事にならない内に退散しようと身を翻した佐助の腕を政宗が掴む。

「丁度いい、sit」
「へ?なんかマズいことした?」
「座れ、猿飛」

小十郎に言われて佐助は渋々二人の間に正座した。内心身に覚えは無いが土下座する準備をしていると、政宗の頭が膝の上に転がってきた。

「アンタもう少し肉つけろって言っただろ」
「……えぇー」

なんだと思って佐助は小十郎を見上げたが既に次の間に行こうとしている。

「えぇー?」

なんだこの主従は。なんで自分がこんな事しなくちゃいけないんだと膝の上の顔を睨めば、血色が良くない。

「……おんなのこに頼めばいいのに」
「女だったら枕で済まないだろ」
「男でも済まないくせに」

しかもこの男は衆目も気にせず盛りがつけば所構わず事に及ぶから面倒だ。

「なんだ、その気なら今から」
「片倉さーん、休むなら膝貸すよ」

膝から僅かに浮かせた頭をどけて、小十郎に聞こえる様に言うが一瞥を返しただけで無視された。舌打ちしてから黙って頭を戻して目を閉じる政宗を見下ろしながら、佐助は足を伸ばす。
側近が働いているのに何も言わないなら、休ませようとして拒否されていたのか。この男はやれと言うとしないくせに、するなと言えば意地になって徹底してやるのだ。

「真田の旦那に負けてないよねぇ……」

言い返そうとして政宗は口を開いたが、間を置いて気付いた様に呟く。

「……勝ったら負けじゃねぇか……?」
「でも負けは負けだよ?」

返す佐助の声に返事はない。見れば既に微睡んでいた。落ちるのも長くないだろう。背中に針の様な視線を感じながら佐助は心底から呟く。

「……何しに来たんだろ俺」

く、と一瞬揺れた膝の上を見下ろす。御機嫌な無表情がムカついて指でその口角を押し上げた。


わらうようにねむる


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戦国 政→佐
『春待月』の前の設定。基本的に政佐の傍らには小十郎だぜが控えています。本番になると席を外す、感じ。

春待月の後に続くなら→
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2014/11/01 comment ( 0 )







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