それはそれは綺麗な揶揄でした


「ふられたー」

開口一番にそんな事を口走った男は、その一言で口を噤んだ。
鞄を机に置いて隣に座って。noteとtextを目の前に並べる。

「慰めてよ!」

脇腹を手刀で突かれた。
読んでいた本から、視線だけで隣を見る。

「なにを?」
「傷心の俺を!そんなだから冷めてるとかクールとかキャーとか言われるんだぜ!」
「余計な……褒めてんのか?」

差した指を本で払う。
それに不快な顔もせず携帯電話でmailを打ちながら一人で勝手に喋り始めた。

「佐助くんって優しいし楽しいんだけどそれだけなのよね。って言われた」
「自分で傷を抉ってどうする」

そういう事は訊かれてから答えるもんじゃないのか。別に聞きたくもないが。

「しかも、あたしほんとは政宗くんが好きなのとか言われた。直後に。即。」
「だからrepeatすんな。Mなのか?」

携帯を閉じて、深々と溜め息を吐く。

「否定はしない。」
「しろよ」
「てーかさ、いらなくねぇ?そこで伊達ちゃんの事なんか必要なくね?なんでいちいち言う?俺さまに言う?つまりはそーゆーことじゃん?」

ふった相手に男紹介しろとか言うような女もだが、そんな女と付き合う奴の、

「趣味が悪い」
「Mだし?」
「ドMだな」

笑いながら机に突っ伏して、そのまま動かなくなった。
何か言うべきかと思案した瞬間、勢いよく起き上がってこちらを睨む。

「今度の休みデートしよ。」
「huh!?」

いきなり何を言い出したこの男は。

「男同士で違和感なくておんなのこがいる場所ってどこ」

……立ち直り早ぇな。

「元親か慶次と行けよ」
「自分よりモテる人誘う?普通?」

元親は老若男女問わず好かれるtypeだし、慶次は老若男女こだわらず恋にうるさい。幸村とじゃ女どころではないか。

「伊達ちゃんなら心配ないし」
「なんでだよ」

5分前に自分で言った事も忘れたのかと、見るとへらりと笑った。

「だって伊達ちゃん、おんなのこより俺のがすきでしょ?」

語弊があると窘めるか、小賢しいと殴るべきか。

それとも空々しいその口に噛み付いてやろうか。


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大学生 政→佐
自分を嫌いな母親がcomplexなのでオカン佐助が好きな女嫌いの政宗様と好きって言われるのが好きな吹けば飛ぶ佐助

週末デートに続くなら →
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2014/11/01 comment ( 0 )







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