可哀相という言葉は彼が為に在った起きたら目の前に顔があった。
「……近……」
寝起きで声が掠れた。
邪魔な顔を押しやって寝返りを打つ。
「おいコラ」
女とは思えないドスの利いた声。恐らく端整な顔を歪めている。
「わざわざ来てやったのに何だその態度は」
「どうせサボリに……ちょっとなに」
足に何かぶつかるなぁと思ったら、女子高生が遠慮も羞恥も無くベッドに足突っ込んで来た。
「寝るならあっちのベッドで……ってちょっと何してんのっ?」
なんで俺さまを跨いでんだこの女は。……顔面殴打狙い?この人の暴力は今に始まった事じゃないし腕相撲でも勝てないし。いいやほっとこう。と思ったら手を取って何か触らされた。
「……。ッ馬鹿か!」
胸でした。女子高生の胸触らされた!
凄まじい意思の力で腕を振りほどいて睨むと、片目でにやりと笑う。
「巨乳好きってresearch済みなんだよ」
「誰にだよもー」
無理矢理どかせたら絶対顔面殴ってくるに決まってるしな。仕方無いので全身で拒否。つまり俯せになった。
「かすが、だったか?アンタの女ほどではねぇか、な?」
俺のって別にかすがとはまだそんな関係じゃないし。触らせてくれないし。じゃなくて。彼女がいる男と思ってて乗るのか。どんな神経だ。
「襲われたいのかよ」
うんざり言うと快活な笑い声が上から降ってくる。……笑い事じゃないだろ。
「学校でするのが好きなんだろ?」
「……は?」
「巨乳教師と巨乳女子高生、あと教師、何だったかな」
「なっん、で、知って……!」
まさか旦那にもバレてないのに!?
思わず振り向いたら、にやにや笑ってる女が未だ馬乗りに。
「本棚の二層目なんて安直じゃねぇ?」
最悪。最たる悪だ。普通漁るならベッドの下とかじゃないの?なんで本棚の本の奥を調べるの。てーか男子だろ家捜しすんのは!
「据え膳だろ?」
男前な笑顔になんか泣きそうだ。あまりの脱力感に俯せに戻る気もしない。
どんだけ飢えても絶対この女にだけは流されないからな!
「犬だって待てが出来るのー」
「ンだよヘタレだな」
ヘタレとかの問題じゃない。
舌打ちをして、人のベルト外そうとしてるよこの女!本気で学校でする気か!
「ちょっとやめてマジで!」
腕を掴んで引き離す。身を起こしたら横に落ちた。
「寝たいの! 限界なの、俺は!」
大体俺さまは保健室に寝に来たのであって。こんな女の相手なんてしてる暇はない。体力回復しておかないと夕方の特売が。
「だから放っておいて……え?」
どさりと落下音がして、見ると旦那と元親さんが立っていた。旦那が鞄を落とした音らしい。……待て。今や立ち位置逆転してるけど。俺さま服乱されてますけど。女の子の足割って入ってるみたいだけどこれはこの人が上に乗っていたからでどれも全部原因はこの人なのに!
「破廉恥であるぞ佐助ぇぇえ!!」
拳を振り上げる旦那がものすごくゆっくりに見えた。
その後の記憶は無い。
……泣いてもいいですか。
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高校生 政♀→佐
忍と兄貴の為にある言葉です 政宗様は受ようが攻ようが乗っかる。
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