引き金は言いました「さようなら理性、」湿布臭さに目が覚めたら、放課後の保健室には旦那だけが残っていた。
あの女に何を言われたのか不承不承の様子で謝って、とりあえず帰ろうと自転車の後ろに乗せてくれた。顔の半分が湿布で覆われたまま近所のスーパーに行くのは躊躇われたからまっすぐ家に帰った。
「おかえり」
「……なんでいんの……?」
なんで元親さんが家にいるんだ。しかも制服でビール飲んでんですけど。
「先に帰って飯作るって言うからさ」
「誰が」
「あれ?聞いてねぇのか?」
「すまぬ佐助」
すぐ横から旦那が忘れてたと呟いた。
「……いいけど……で?」
料理が出来るのはあの人しかいない。けれど台所には姿がなかった。
どこよ?と聞くと元親さんはごくんと喉を鳴らしてビールを呷った。
「お前の部屋で」
「勝手に入んな!」
またなんか漁られる!
慌てて自分の部屋に駆け込むと女子高生が着替え中と云う、少年漫画みたいな展開で待ち構えていた。っていうか展開が。
「古い!」
「少しは喜べよ」
羞じらいも隠しもせず、お前は本当に変態だなと言う。あんたに言われたくない。
「人の部屋で脱ぐな!」
「濡れたから着替えてたんだよ」
ついでに服貸せ、と言う女の制服は確かにベッドの上で濡れていた。他の物が濡れないように避けて置くという考えはないらしい。
「濡れた?ってなんで?」
とりあえず、扉を開けたまま人を見ないように部屋に入ってシャツと上着だけを出した。
「風呂洗おうとして間違えてshower頭からカブって」
「何で風呂を洗う必要が!?」
「風呂は飯を食う前に済ますtypeだ」
「関白宣言だ!じゃねぇ、他人ん家で入ろうとするなよ!泊まる気か!」
「じゃあ俺も泊まっていいかー?」
開け放したドアの向こうから元親さんの声がした。
「俺もじゃないよ!ちゃんと帰りなよ!?」
「よいではないか!佐おぐぶぁっ」
部屋から出て台所に戻って元親さんに言うと、元親さんと話していただろう旦那が振り向いて鼻から大量出血した。
「旦那ーっ!? 服着ろよ!」
背後を確かめたらやっぱり上半身晒したまま立っていた。何そのまま出て来てんだよと言うと呆れた様に、ふ、と息を吐いた。
「blueは嫌いなのか?」
「あんたが嫌いなんだよ!」
「カレーのルーって一箱全部入れていいのか?」
「駄目だよ!」
どうやって触らずに部屋に押し込もうかとまごまごしてたら
元親さんが恐ろしい事を言った。
「もう入れた」
「馬鹿ーっ」
「てめぇ!美人で巨乳の何が不満なんだ、virginだからか!」
「なに口走っちゃってんの!?」
てーか胸倉を掴むな、嫌でも目に入るでしょ目の毒が!ぺっ、と捨てるように手を振り払って、胸を張って続けながら旦那に手を伸ばす。
「shit!なら今済ましてやるよ!起きろ幸村!どうせアンタもどうて」
「やめてやめろやめなさい!! 服を着ろ!」
「水足せばいいか……あっ無理だ中身減らさねぇと」
「っ!!?」
血を流して倒れる旦那の胸倉を掴む女に、揺さぶられてがつがつと床に頭を打つ音を出す旦那に、カレーを流しにだばだば捨てる元親さんに、
「もっ、お、ぉおッ!」
何かが決壊した音がした。
いい加減にしろ!!!
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お題が微妙に不発でした。