鉛筆はありふれた筆記具でありながら携帯には適していません。
シャープ/ボールペンが氾濫する現在その必要もないと考えられていますがしかし、現状に抗うようにパーフェクトペンシルなる製品があります。
パーフェクトペンシルでは伯爵コレクションという専用鉛筆を使う上級品が有名なのですが、ここにレヴューするのは樹脂製の廉価版、同社の代表的製品である#9000鉛筆のためのパーフェクトペンシルです。
消しゴムつき鉛筆に、鉛筆削りを仕込んだ補助軸兼キャップを取り付けて、
書く、
消す、
削る、の三機能を具えるためパーフェクトというわけです。
- 書く
長さは標準的な鉛筆の72%ほどで、キャップに挿すと(新品状態で)全長154mm、標準的な鉛筆の87%ほどになります。シャツのポケットに挿すにはちょっと長いですね。
芯硬度はBのみ、日本製に比べ一段硬い芯質です。
ファーバーカステルは芯の原料の濾過が不十分なのか、筆記中に砂を噛むような感触が芯先から伝わることが時折あります。
学童用のグリップ2001だけならまだしも生産開始から百年以上になる#9000もそうであるのは残念なことです。
日本製鉛筆のような脂性の芯質を避けつつ日本製並みの純度が実現されたらよいのですが、そうでないのは旧世代の鉛筆だからでしょうか。
ただ、パーフェクトペンシル用は標準の#9000より質が向上しています。 - 消す
同社の7081N消しゴムに感触が似ている尾端の消しゴムは、多くの鉛筆付属消しゴムがそうであるように過度の期待はできません。
また、使わずにいると表面が劣化してしまいます。
日本製には劣るもののマレーシア工場製の7085や西ドイツ時代の7081Nは硬めながらも消字性が良いのに対し、現行7081Nは環境に配慮して素材を変えたのかどうか芳しくないのです。 - 削る
キャップの天冠を外すと鉛筆削りが現れます。
切削角度約22°、切れ味はよくもなく悪くもなく。
芯先が削り上がっても止まってはくれないので、うっかりすると削りすぎてしまいます。
鉛筆削りの刃が傷むため、キャップ内で鉛筆と鉛筆削りが直接当たらないようになっており、また、替えの鉛筆削りが売られています。
クリップは生地に差しやすい優れもの、また、天冠をつまんでポケットから取り出しても鉛筆削りが外れたりはしません。
キャップ長68mm、鉛筆収納部分は40mmほど。
同長の鉛筆を入れたステッドラー900より22mm短くなり、携帯性ではこちらが優ります。
ばねで鉛筆を挟む形式で他社製鉛筆も入りますが、φ8mmの三菱ユニやトンボモノは厳しい。
既存の補助軸に機能を追加したに留まらず鉛筆筆記に必要な三機能をまとめたところにこの製品の価値があります。ですが、樹脂製で安っぽいわりに価格がステッドラー900 25の約1.7倍なのが困りものです。