発売時、ちょっと話題になった蛍光色鉛筆。
鉛筆削りキャップつき、クツワにしては珍しくベルマークなし、四色。2014年11月発売、日本製。
替え鉛筆四色セットPA001 (キャップなし) 2016年11月発売。
単色二本組PA005 (キャップなし) 2017年6月発売、2020年?廃番。
蛍光色鉛筆共通の長所は、固形芯のため紙の裏へインクが滲まず、薄葉紙たとえば辞書や聖書にも適する点。
欧米市場に蛍光色鉛筆が多いのは聖書研究用途・需要が見込まれるためらしい。
φ7.5〜7.6mm×140mm丸軸、芯径3.9mm、封蝋あり、先付け鉛筆(芯先を削られて出荷される鉛筆)約∠29.5°
銘は銀字
[白抜き文字Hi] LiNE [囲み文字NEON COLOR MARKER] 3.9 [クツワロゴ] KUTSUWA MADE IN JAPAN
ロット番号なし
付属キャップをつけると、他の鉛筆と同長175mmになります。
左側本品、右側
ステッドラー テキストサーファードライ128 64紫色に写っているのは蛍光ピンク。デジカメが蛍光色をうまく再現できない。
紙:コクヨ大人キャンパス ノ-104S5-D (白色紙)、ライフ シェプフェルN63 (クリーム色・淡黄色紙)
画像ではシェプフェルの紙の色がすっかり白くなっていますが淡黄色。ちょうどこのブログの背景色のような色です。
その紙では、鉛筆筆跡が濃いめに出てHでも書けます。反面、蛍光色鉛筆筆跡がやや淡く、とくに黄色は淡くなります。
- 発色が良く、色が明るい。けれど色合い自体は淡い(蛍光ピンク除く)。
色の濃淡には長短があり、黒文字に上書きするには淡くてもいいけれど、下線を引くには濃いほうがいい。 - 書き味が良い。
平滑な紙でも書き味に雑味がありません。
事務筆記用とされていますが画用と同じく芯が軟らかく、低筆圧でも十分書けます。
これは日本製の色芯がプレワックス製法であることに由来します。
→インドネシア鉛筆工場視察│東京鉛筆組合昭午会 - 芯粉が出る。
書き味が良いいっぽう、塗りつぶすと紙面に定着できなかった芯が粉末となって出ます。
他社製リラ メガライナーではほとんど出ずステッドラーでは無きに等しい、いや出ない。 - 短い。
全長が140mm、ふつうの八割の長さ。
ドイツ等舶来蛍光色鉛筆に比べれば廉価なほうですが、一本あたり170円(税込187円、鉛筆キャップなし)というのは、日本製としては割高。
また単体では売られず、最も流通しているのがキャップつき220円(税込242円)ということもあり、やはり割高感があります。
なお最も低廉なのはダイソー蛍光色鉛筆8本組「色えんぴつH No.4」ですが、芯質・発色も最低です。 - そして本品のいちばんの長所は入手しやすいことです。
割高とはいえ、通販でさえ入手しにくい蛍光色鉛筆もあるなか、実店舗でも入手しやすいのは大きな長所。
であるのに、発売後二年くらい色鉛筆単体が別売りされないままでした。されたと思ったら四本組(四色各一本)のみ。
その後単色二本組がようやく売り出されましたが、後者はすでに公式サイトから消えています。
割高なのは自社生産していないためですが、もしかしたらクツワは下請けへの支払いがよい企業なのかもしれません。
※2021年6月27日追記:元製品はおそらくアイボール鉛筆A886 (旧A425)で、そちらは一本110円(税込121円)。単品購入ならそちらを買うようクツワが配慮したのかもしれません。ただしとても入手しにくい。クツワの陰謀に違いない。
蛍光色鉛筆は環境によって印象が変わります。
日光下ではよく見えるけれど、人工照明下では、とくに淡黄色の紙では淡く見えるようになります。白い紙ならいくぶん見やすい。
蛍光緑は各社で差が現れやすく、また数社ぶん持っているので並べてみましょう。紙はライフ シェプフェル。筆圧の強弱は定量的ではありません。
画像ではうまく写っていませんが肉眼で見ると、
ク) 本品は筆圧が弱くても発色し、いちばん「光る」ものの色が淡く、人工照明下ではやや見づらい。
S) ステッドラー テキストサーファードライ128 64
L) リラ メガライナー96
ステッドラーとリラの蛍光緑は、黄緑に近い色で、蛍光色としては発色がいまひとつだけど色が濃い。
C) カランダッシュ マキシペンシルは色が濃く、人工照明下でも見易い。ただし書き味が硬い。
ダ) ダイソー色えんぴつH No.4は芯が硬く色も淡い。まるで製図用色鉛筆のよう。
私見ではカランダッシュ→リラ≒ステッドラー→クツワ→ダイソーの順で淡くなります。
蛍光反射ではクツワ→カランダッシュ→リラ≒ステッドラー→ダイソーの順で暗くなります。
消す、というより色を淡くする程度ですが、消しゴムで一応消せます。
跡が残りやすいのはピンク、次いで黄色。橙と緑が消しやすい。
パイロット フリクションライトは蛍光色鉛筆より消えますが、あれも完全とは言えません。
消しゴム:
KUMティップトップ消しゴム、サンスター文具六角ロング消しゴム、SEEDカラージュEP-CP1
付属品●鉛筆キャップ、日本製
切削角度23.5°
同社削り器つきキャップRB005を流用したもの。
貝印製U22-1C刃は削れ味よく、
三菱ポケシャDPS-101PLTや
トンボippo!つまんでポイシャープナー、
サクラGミニシャープナーにも使われています。
しかし、その切削角度は太芯色鉛筆用としては鋭角。
上から
新品(出荷時)状態∠29.5°
KUMティップトップ∠29°
付属鉛筆削り(RB005) ∠23.7°
画像では鉛筆削りの性能を見るため、また角度を測りやすくするため芯先を尖らせていますが、軟芯の代償として芯が折れやすく、包装裏の注意書にある通り、ここまで尖らせることはありません。
もっとも、低筆圧でも十分に色が紙面に乗って発色するため、芯を折るほど力をかける必要はありません。
鈍角に(芯先を短く)削るためには、付属品を使わず、
前回のKUMティップトップ鉛筆削りキャップを本品につけて、あちらの鉛筆に本品付属鉛筆削りをつけるのがいいように思います。
KUM消しゴムキャップも本品につけられます。
ティップトップは発売当初、鉛筆の蛍光マーカーと同じく四色あったのですが、現在は黄色が製造中止になって三色になってしまいました。
四本組のPP容器底部を開けられず、上部を開けました。
底部をいったん開封したら戻せない設計かもしれない。
※後日どうにか切らずに開けられました。もうこのままにしておこう。
従来の蛍光マーカーでは、万年筆インクや水性ボールペンインクを溶かしたり顔料ゲルインクを擦ったりしてフェルトペン先が黒ずむことが頻繁に起こりますが、蛍光色鉛筆ではほぼありません。
発色が淡いのが蛍光色鉛筆全般の難点ですが、蛍光インクがまぶしい、と感じる人々には、むしろこちらのほうが良いでしょう。
今回でブログを休止します。
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