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三菱鉛筆 スタイルフィット第三回 マイスターUE3H-1008
2011/11/25 06:00



堕落論・日本文化私観 他二十二篇

「日本文化私観」1942年3月発表

 聖戦とも呼ばれた大東亜戦争下、伝統文化の精神性なぞより欧米の猿真似であっても便益性をとるべきで、伝統を忘れ洋服着ても日本人が健康に生活する限り日本文化は不滅だと説いた。
曰わく「京都の寺や奈良の仏像が全滅しても困らないが、電車が動かなくては困る」「問題は、伝統や貫禄ではなく、実質」「古いもの、退屈なものは、亡びるか、生まれ変わるのが当然だ」。
そして「やむべからざる(そうするしかない)実質」に立脚する工場、監獄、軍艦に美を認め「美しさのための美しさは(略)空虚なのだ」。

 やや刹那的ですが、これは虚飾を排する機能主義と伝統から分離する合理主義で、モダンデザインの主流を成す考え方です。
これでも発禁にならず、大して注目もされませんでした。彼が衆目を集めるのは堕落論から。

 磯田光一に批判されてるんですが今回それを読めなかった。多分こんな感じじゃないかと。
 産業化の途上にあった当時の日本では発展こそ正義であり、軍国における発展は侵略に結びつき、かくて「やむべからざる実質」は経済産業発展を経由して帝国主義へ合流する。
 発展する若く清新な日本が老成した中国朝鮮を統治指導すべきと主張、同時に日本は西欧以上に歴史ある古い国家と誇る二面性があった。
この二面性は、強者の論理と、日本こそが新しく正しい支配者という考えによって統一され、敗戦後に反作用した。

 安吾の主張はその意図に反してそれに吸収されます。
ただ「真珠」(1942年6月発表後発禁)では、真珠湾攻撃のラジオニュースを聞いて「涙が流れた。言葉のいらない時が来た。必要ならば、僕の命も捧げねばならぬ。一兵たりとも、敵をわが国土に入れてはならぬ。」と感激しているので意図に反していなかったかもしれません。

 さて「経済成長とか高度消費文明批判というのは(略)エコだのスローライフだのという話ではない。そんなのは経済力があって初めて可能になった、ぜいたくでありお遊びでしかない」山形浩生/山形浩生をがっかりさせた原発関連の本/ケトル3号p120
本著はその贅沢ができなかった頃の文ですが、すでに産業化を無条件に歓迎する時代を過ぎ、さりとて過去への回帰=機械文明の棄却もできない現在、伝統を忘れても健康な生活を営むには環境との調和、資源の有効活用を求められ、さらに進歩するにはエコとかなんとかの方向じゃないのかと。
機械文明は究極的には自然と共生すると予想してるので贅沢すればいいと考えます。
 電力についても、更に贅沢になって電力を自由化し選択肢を増やせば、需給逼迫を回避し、送電網整備の課題があるとはいえ地方経済再生の目もあり、しかし産業界は安定供給を望むため既存の電力会社の権益が大きく削がれもしないだろうから安心すればいい、とか思います。

 ところで安吾は左翼を嫌い「(農地改革に関し)明かに共産党や無産政党の頭の悪さがバクロされており」(野坂中尉と中西伍長/1950)とか「人間の未来はこれから永遠につゞいて進歩発展して行くもので、百年千年先の文化はズッと進んでゐるのは当然なのだから、我々が最後の決定だの革命などとはチョコザイ千万(略)、常に人間が為すべきことは、その時代に於て、少しづつ良くなる、特別悪いところを治して行く、万事さういふタテマヘのものでなければならぬと考へる。(略)左翼的な人たちはみんな役人型であり、ファッショ型だと思へば間違ひがない」(新カナヅカヒの問題/1947)とか述べてます。

 本著は機能・合理主義的ですが奇妙なことに、合理性を基礎に据える近代主義建築家B.タウトへの反論として書かれました。次回はタウトの日本文化私観。
因みに安吾が讃えた監獄は戦前モダン建築の代表、小菅監獄です。

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 2011年10月発売。3芯回転繰出式。軸色5色、日本製? *2023年ころ製造中止
金属製ながらパイロットコレトルミオより軽く感じられます。クリップ狭持力はルミオと同程度。
 先軸を回して外す。しかしこれが堅くて壊れるかと思った。外れないときは後軸を押しながら行います。また、うまくすると口金を外せます。
 組立の際には先軸を適切な力で締めますが、力いっぱい締め込むのはいけません。
 クリップと直列した芯が出る。無限に回らず最大回転角240°。替芯収納するには60°回します。
即応性に劣る回転式ながら作動は軽く(但しなめらかさに欠ける)片手で操作可能。作動音あり。

 シャーペン機構部は三ヶ所に装着可能。後軸を押してノック、収納時にはノックできず、手帳のペン差しに抜き挿しするにも好都合。消ゴムがあれば良かったんですがナシ。
 中央透明部で色を識別。油性芯は識別できず注意。
シャーペンを混ぜれば相対位置で大体判りますが、替芯先に着色すればペン先に視線を集中できるので、それが最適解かも。
 口金が多色用とは思えぬ輪郭で良い見た目。なんですがゲル芯の露出が少なく感じられる。先軸を0.3mm短くすべき。



 コレトと違ってレバーにインク色を反映できない短所は相変わらずですが、それを逆手にとって異なる作動方式のペン軸を加えたのでした。
 同種の様々な製品群を共通規格(この場合JIS油性B型替芯)で結びつけ、選択肢を増やす手法は、大量生産を指向する産業界と個性を求める消費者を折衝し、簡潔で多様なデザインを可能にします。
一方、それを支える生産ラインと流通網に受け入れる市場が必要で、本品の什器も大きい短所があったりします。しかも消費者がわがままになる。これが売れたら無限回転機構4芯軸をお願いしたい。
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