「1940年体制」以前、日本は20年続く不況下にありました。恐慌が悲憤を招いて暗殺やクーデタ未遂が起き、わけても有名なのが1936年の2・26事件です。
この陸軍皇道派による事件に連座して処刑されたのが北一輝(きた いっき、本名は輝次郎てるじろう、1883-1937)でした。
今回は松本清張と松本健一の「北一輝論」。
北一輝は、国家社会主義を主唱し明治天皇に心酔しつつも、日本人は天皇に反する乱臣賊子だったという「国体論及び純正社会主義」を1906年発表(直後発禁)し、辛亥革命に関わって「支那革命外史」(1916)を書き、後年は世俗に埋没して財閥にたかっていた人物。しかし著書「日本改造法案大綱」(1923)は天皇親政を目指す皇道派の必読書でした。
清張(1976年発表)はその乱臣賊子説を卓見と評しつつも彼を糾弾、落ちぶれた革命家と評し、
健一(1972年発表)はより詳細にロマン主義的に、恋愛をも含めて北寄りに論じています。
両者に共通するのは、北が政界の黒幕を目指した点と、明治憲法が絶対君主制と立憲君主制の二義性を持ち、彼がそこに日本の急所を見、国民国家を求めたと分析した点でした。
しかし「国民」の解釈と、北の天皇制に対する姿勢を巡って大きく違うのです。
さて、日本型ファシズムは独裁者不在を特徴としますが、それでも抑圧的なのはなぜだったのか、山本七平は
「空気」を論じ、北は臣民の存在と国民の不在を論じたと考えられます。
いま思うに、北一輝論→空気の研究→1940年体制と紹介すればよかったですね。
北の著作はWeb公開されており、日本改造法案大綱と1940年体制はいくつか共通点が見られるのですが、読むのを断念してしまいました。
プラチナプレピー三回めです。
今回はカートリッジ式サインペン。同種のものは使い捨てが主流ですがこれは詰替え式。替ペン先(2本入りSTR-100)もあります。全7色。日本製部品、中国組立。
ペン先は2mm径の(サインペンとしては)細字で、ポリエステル繊維を凝縮したもの。
プレピー蛍光マーカーと互換します。
- サインペンやフェルトペンの類いはペン先が繊維質。
- 構造上はファイバーティップとかポーラスと呼ばれ、統計上はマーキングペンに分類されます。
- 原理はアルコールランプと同じ。
- インク貯蔵部から繊維質ペン先へと、毛細管現象によりインクが吸い出されていくしくみ。
- 中綿式と直液式の二方式。
- プレピーは直液式で、繊維質ペン先を直接インクに浸しています。
- しかしこれではインク流量を調節できずにインク漏れを起こすため、万年筆と同じくペン芯でインク流量を調節しています。
カートリッジ装填するとペン先がインク色に染まります。
半額処分されたプレピーにペン先が潰れたものがありました。
たぶん試し書きしようとして、インクが出ないからと紙面に押しつけられ潰されてしまったようです。
店頭陳列時はカートリッジが装填されていないため書けないのですが、使い捨てに馴らされると、気づかなくなってしまうのかもしれんですね。
カートリッジ式サインペンそのものは、採点ペンの名で数十年前からプラチナ萬年筆が製造しており、長らく学校用品として使われてきました。プレピーはそれらとインクカートリッジを共用できます。