"FIX PENCIL"は、1929年に発売された、世界初のスプリングクラッチ(ドロップ)式芯ホルダ。
何度かの改変を経て現在も当初と同じ六角軸で製造されています。

左から22、77 (ともに2mm芯径)、3 (3mm芯径)。
三種とも鉛筆より少し太い六角軸で、ノックボタン以外金属製ながらほぼアルミ製のため10g弱と軽量です。クリップは後ろへずらすと着脱できます。

三種ともチャックに滑り止めがないものの芯先が砕けるほど紙面に押しつけても芯が引っ込みはせず、使用に支障ありません。
ノックボタンは5色あり、簡易芯研器内蔵。他社のボタン内蔵芯研器が2mm専用なのに対し2mm / 3mm共用です。

本品は前装式。
芯室(内筒)後部の一部が芯室内へ折り曲げられ、後方へ芯が抜けないようになっています。
そのためストッパーつき2mm芯はそれを外さないといけません。
フィクスペンシル22は全長が短いため、一般的な2mm芯(130mm長)を収めきれず、純正2mm芯6077 (120mm長)ですら6mm余る欠点があり、他社製芯を用いる際には芯を半分に折るなどします。
22を伸長した77では問題なく他社製芯を収められます。
通例、2mm芯の価格は同芯質鉛筆の五割から四割ですがカランダッシュは十割。
芯ホルダの利点を封殺する価格で最大の欠点になっています。
ちなみに
テクノグラフ777が同芯質鉛筆。
芯研器は
ステッドラー502が合わず
ロットリング芯研器(橙色差込口)が合います。502芯研器が普及しているためこれが標準と思いがちですが、実際にはステッドラー780系専用なんですな。

フィクスペンシル3は3mm芯用。
珍しい芯径ですが、より一般的な3.15mm芯もなんとか入ります。短軸のため22と同じくこれまた芯が余ります。
軸前部は梨地仕上げ。
価格等不満もありますが、継ぎ目がなく撓まないまっすぐなアルミ軸は、細軸かつ逓減形状軸ばかりの芯ホルダのなかで扱い易いものでした。しかし細軸には違いなく長文筆記に適するとは言い難いものです。
私は筆記専用にもしますが、芯ホルダはスケッチ兼用とすると利が生まれます。
CARAN d'ACHE Fixpencil- | 22 | 77 | 3 |
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芯径 | 2mm | 3mm |
軸径 | φ8.6mm |
軸長 | 137mm | 157mm | 136mm |
重量 | 8g | 9g | 9g |
可納芯長 | 113.5mm | 133.5mm | 112mm |