なにもいらないからはやく サタシェ※
っは、
長いキスの末、やっと解放された口で消費した酸素を肺に取り入れるために、深呼吸を繰り返した。 ふと、サタンの指が俺のマントを外しにかかった。
しかし俺に纏わりつく衣服を取り除く指は随分と遅くて。 ゆっくりとじっくりと、揶揄する様に、焦らす様に、マント一つ外すのに5秒もいらないはずが、サタンは20秒もかけてマントを外した。
マントを外すだけでそんなにかけるのか。 なら上着は、下着はどうなるんだ。 そんな不安と苛立ちを抱きながら、俺はただただサタンが衣服を取り外すのを待った。
もうやばいんだ、早く取り外せ。 そんな俺の望みを、サタンは平然と打破した。
やはり、衣服を脱がし外す手は遅かった。
早く、早く、 待ちわびているのにそれに応えようとしない指に次第に苛立ちが抑えられなくなった。
「は・・・やく・・・」
先ほどのキスでゆるんだ理性では制御も聞かず、何のためらいもなく催促してしまった。 しかしサタンは意地悪く笑い、なんだ、何がはやくなんだ、と片頬に笑みを浮かばせる。
「まさかまだキスがしたいのか」 「ちっ、違う!」 「じゃあもっと耳を弄ってほしかったのか」 「違う!!」
じゃあなんなんだ。
なんなんだだと。揶揄にもほどがあるだろうとサタンに睨みをきかせる。 しかし潤んだ瞳で睨んでも、一切の説得力も無いわけで。
ああ、もう、 辛抱ならずに、口が動く。
「脱がすなら・・・早く脱がせ・・・」
にやり。サタンはほくそ笑んだ。 そして次に出た言葉といえば、それはそれは因業な言葉で。
「で、脱がした後はどうしてほしいんだ」
なんて意地悪な。わかってるくせに。 これじゃまるで嫌がらせだ。苛みだ。
俺は今、とてつもなくお前を望んでいるというのに、それに何故応えようとしないのか。 もう限界だ。ゆるまっていた理性が、とうとうふち切れた。
「・・・俺を犯せ」
苛立ちを含めた、最中には似つかわしくない低い声で俺は言い捨てると、サタンはふふん、と鼻で笑って返した。そして俺の顎をぐいと掴み上げ、自分の顔の位置に固定した。
「愛し合ってください、だろう。シェゾ」
先ほどまでの煩わしさを瞬時に忘れさせる、蕩ける様な甘い声で耳元に呟かれる。 未だに身に衣服を纏ったまま、俺達はもう一度唇を重ねた。
散々焦らしやがって。もういっそのこと、着たままでいい。 早くしろ、サタン。
シェゾはサタンの首に、腕をまわした。
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意地悪サタシェが大好きですキリッ
title...joy様
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