[優]


大学が始まる前にふと思う。
貯金が減っている。
まあ使ってるから当たり前なんだけど…
そろそろバイトを始めようと思い携帯や駅に置いてある冊子を見るけど、自分の中でピンとくるものがいまいちない。
今日も収穫なしかーと思いソファに寝転ぶ。


麻衣『何見てたの?』

「バイト探さなきゃと思って。」

麻衣『何かやりたいバイトないの?』

「時給がよければいいかなと思ってるけど、なるべく家から近いところで探そうかなと。」

麻衣『美彩の居酒屋は?あそこ時給いいよ。めっちゃ忙しいらしいけど!』


あー、美彩さんいつも疲れたって言って帰ってくるもんなあ。
でも、賄いも出るって言ってたし和気あいあいとしたいい所だから別に辞めたいと思わないって言ってたっけ…
するとタイミングよく玄関から美彩さんの声が聞こえた。


「おかえりー。」

『ほら、どいてどいて!』


起き上がると私の横に勢いよく座る美彩さんにさっきの話を持ちかける。


『ちょうど人探してるしいいんじゃない?明日店長に聞いとく!』

「ありがとー!助かる!」

麻衣『私のところではバイトしない?』

「まいやんの所も忙しそうだよね。」

麻衣『そうかな?』

『あのさ、ずっと気になってた事聞いていい?』


美彩さんがそう言い出すから、どっちに聞きたいか分からずまいやんと私を交互に指差して、どっちに聞きたいかジェスチャーする。


『どっちでもいい。まいやんだけなんでまいやんなの?私も美彩さんって嫌なんだけど!』

「え?」

麻衣『いつからだっけ?ここに来て少ししてからだよね?』

「お互い予定なくて、ずっと家で喋ってた日じゃない?」

『ずるい!ずるい!』

「じゃあ何て呼べばいいの?」

『美彩!』

「わかった。美彩ね。」

麻衣『美彩は呼び捨てなのに私はまいやんのまま!?てか七瀬もさんづけ嫌だって言ってたよ?』


話し合った結果、まいやん、美彩、なあちゃんって呼ぶことになった。
まいやんは納得言ってなかったけど、まあいいよね。
それより七瀬さんだよね。
勝手に呼び方変えて大丈夫だったかな…
帰ってきた七瀬さんになあちゃんおかえりと声をかけるとびっくりしてたけど、すぐにいつもの可愛らしい笑顔に変わったのを見て、さっきの心配はすぐに飛んでいった。



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