[優]
入居して2週間。
まだ春休みだから朝ゆっくり寝ていると、フーッと耳元に風が。
びっくりして目を覚ますと、ケラケラ笑っている麻衣さん。
「おは… えっと… 何?」
『七瀬も美彩もバイトで出てっちゃって、暇だなと思って見に来たらまだ寝てたからつい。』
「普通に起こしてよ。」
『昼までダラダラ寝てるから。てか鍵かけてないのも悪い。』
「あー。忘れてた。」
そう言って再び目を閉じると布団をバサッとめくられる。
まるまる私をバシバシと叩く麻衣さん。
「やーめーろー。」
『暇なんだもーん!』
「わかったわかった起きるから!」
一緒にリビングに行きソファに座る。
まあリビング来たところでやることがあるかと言われれば特にない。
「麻衣さんってクールっぽく見えたのに全然想像と違う…」
『あのさ、そろそろ麻衣さんってやめてくれる?すごい距離感じるんだけど。』
「七瀬さんと美彩さんは何て呼んでたっけ?麻衣ちゃん?麻衣?あっ!まいやんだ!」
『あー、呼び捨てもいいね。普段呼ばれないならドキッとしちゃう!』
「ドキッとするな。まいやんね。」
くだらない話は意外と盛り上がるもので、身辺の話や近況を話していたらあっという間に夕方に。
お腹も空いたから2人でご飯を作っていると七瀬さんが帰宅。
『七瀬もご飯食べるー?』
七瀬『食べる!』
「まいやんこれまだ炒める?」
『まだまだ!ほんとに料理できないんだね?これで一人暮らししようとしてたなんて恐ろしすぎる。』
「だから言ったじゃん!できないよって!今の世の中、なんでもあるから料理しなくても生きていけるよ。」
自分なりに一生懸命手伝い、ご飯が完成。
テーブルに並べてみんなで食べ始める。
まいやんと美彩さんに比べて七瀬さんは大人しい。
さっきまいやんとの話の中でまいやんと七瀬さんは人見知りだと言っていた。
でもまいやんは人によるみたいで、なぜか私は全然平気らしい。
でも七瀬さんはやっぱそうじゃないみたいで、全然話さない。
まあ、私も無理に話して嫌がられるのも嫌だし七瀬さんが心を開いてくれるまで気長に待とうと思う。
『そういえばどこの大学行くの?』
「乃木坂大学。」
『まじ?私達も乃木坂大学だよ!』
「そうなの!?じゃあ、いろいろ教えてね?先輩!」
『それは…七瀬に任せた!』
七瀬『たぶん大学来たらびっくりするで。』
「何に?」
七瀬『2人の人気具合とか?まぁいろいろあるんや。』
こんな感じでまいやんが時折七瀬さんに話を振り、七瀬さんはそれに普通に答えてると思っていけど後からまいやんに、七瀬人見知り発動してたねと言われてそうだったんだと初めて気づいた。
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