家族のひととき

夕方、近くのスーパーに買い物に行く。
部活が早く終わった津軽とサイケも合流した。たぶん津軽が気を利かせてくれたんだろう。

「なにこれ!超おいしー!オネーサン美人だし、料理じょーずだね」
数メートル先の精肉売場からデリックの甘えた声が聞こえた。毎回口説いてるけど、あれはウィンナー目当てなのかオネーサン目当てなのか…
正直シズちゃんと同じ顔がナンパしてるのは腹立たしい。ため息ついてデリックに近付くと、日々也が服の裾を引っ張った。
「ママ、デリが浮気した」
「え?」
「最っ低だね。今日はデリのエビフライ、エビ抜きね」
「え?」
「ひびや、今日サイケと寝る」
「え?」
「やったー!日々也と寝るっ!」
「え?」
「津軽も一緒でいい?」
「え?」
「いーよ」
「いや、あの…」
デリックが伸ばした腕を日々也が払う。
「デリきらい」
我が子ながら厳しいね、日々也。
よろろ‥と後ずさったデリックが土下座した。恥ずかしいからやめて欲しい。
「ごめんなさい!!!」
「なにが?」
「お姉さんに話しかけたから」
「べつに。デリが何しようと僕には関係ないよ」
冷ややかな視線を送る日々也は帰り道、デリックと一言も話さなかった。


買い出しは破天荒すぎる双子のせいで毎回疲れる。津軽が居なかったら本当に悲惨だったな。
休む間もなく夕食を作ってテーブルに並べた頃、ちょうどシズちゃんが帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
日々也が出迎えにいく。
「おー今日のごはんは何だ?」
日々也を抱き上げたシズちゃんがリビングに入ってきた。
「エビフライ。デリのはエビさんいない」
「旨そうだな。なんだ、またデリックはドジったのか?」
「ちょっとね…」
デリックの恐ろしくテンション低い声が聞こえて、少し可哀想だった。

「ただいま」
日々也を椅子に下ろしたシズちゃんがキッチンにきた。子供達に見えない角度でこっそりキスされる。
「ん、おかえり。お味噌汁で終わりだからちょっと待ってて」
「手伝うぞ」
シンクで手を洗ったシズちゃんがお椀を用意してくれる。
受け取って味噌汁をよそり、何気なく振り返った。
ダイニングテーブルいっぱいの料理。
席についてはしゃぐ子供達。
横にはトレー持ってるイケメンの旦那。
こんな一瞬に至上の幸福を感じる。
俺は幸せものだ!!
神様なんて信じないから、この幸せにお礼を言おう。

「ありがとう、シズちゃん」



天城神楽様、素敵企画ありがとうございましたー!!もし浮いてたら申し訳無いです。
ここから先、R-18です→





[*prev] [next#]
[TOP]
[タイトル]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -