まったりする昼

「波江ー。津軽とサイケが自分で洗濯するんだよー」
洗濯物を干し終えた頃、出勤した波江に愚痴る。
「あら良かったじゃない」
「良くない!シーツとか下着とか…ねぇ、どう思う?」
「あぁ、そういうこと。津軽君、もう高校生でしょ?それくらいは…」
「だって‥男同士だよ」
「なに自分のこと棚にあげてんのよ?」
「兄弟だよ!?」
「私と誠二の悪口なら殴るわよ」
「波江のバカ!!」
「五月蠅いわね。いいから仕事しなさいよ」
こっちとしては大問題だ。息子もゲイとか。
いや、正確には俺はゲイじゃない。他の男なんて触れようとも思わないし、むしろ気持ち悪い。シズちゃんだから俺は好きなんだ。強い光を放つ瞳も、しなやかな腕も、スラッと伸びる足も。シズちゃんを構成する細胞の全てが愛しい。
「なにニヤニヤしてんのよ、気持ち悪い」
顔に出てたようで、紅茶を持ってきた波江が汚物を見るような視線を送ってきた。
「ごめんごめん、シズちゃんのこと考えてた」
開き直って正直に言う。
「不快だわ」
波江は俺を一瞥して自分のデスクに着いた。
PC眺めながらも頭はぐるぐるしてる。俺達が親なんて出来るか不安だった。いや、今も不安。
俺達がきちんと育ててるつもりだって、子供に伝わってるかなんて分かんない。もしかしたら傷付けてる可能性だってある。

「性格は悪い、仕事は真っ当じゃない、挙げ句に男同士。でも貴方達は立派な親だわ」
親という単語に反応して波江を見ると、彼女もこちらを見ていた。
「また顔に出てた?」
頷く波江。
「親とは子の幸せを一番に考えるものだもの。血の繋がりや経済力だけではないわ。貴方の悩みや惚気を聞くのは迷惑この上ないけど、彼等に対する愛情は本物じゃない。もっと自信持ちなさいよ、折原臨也」
「ありがと」
うっかり涙が出そうだ。
うん、俺は良い秘書に恵まれたな。



―――――雇い主が育児ノイローゼで失業なんて勘弁だわ




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