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「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
手を合わせた静雄が空のグラスと皿を持ってキッチンへ向かう。

「甘くない…」
キッチンの静雄が呟く。
「なにが?」
「生クリーム」
「トッピング用は砂糖入れてないもん。プディングにココア飲んで生クリーム砂糖入れたら、いくらシズちゃんでも糖尿なるよー」
キッチンカウンターに置かれたボウルに指を突っ込む静雄の額に皺が寄っている。
「生クリームって最初から甘いと思ってた」
「なわけ無いじゃん!元は牛乳だっての」
「捨てんの?コレ」
「ホイップしちゃったから、使い途無いしね。明日卵焼きでも…あ、卵ないや…」
冷蔵庫を開けた臨也が残念、と首を振る。
「てゆーか垂れてる!」
静雄の指を伝って手首まで垂れたクリームに舌を伸ばす。甘味のないそれは脂肪が絡みつくだけで不快だった。
「ん?」
静雄の視線に気付いた臨也が首を傾げた。
「エロいな、テメェ」
「やだなぁ…中学生じゃあるまいし、この程度で発情しないでよ」
馬鹿にした口調で静雄を見上げると、思ったよりも熱っぽい表情に悪戯心が湧いた。
もう一度クリームの付いた掌を舐め、長い指を口に含んだ。フェラチオを連想させる様に舌先でなぞり、指先をきつく吸い上げる。
ちゅっと音を立てて唇を離せば、盛りがついた犬は涎を垂らす寸前だった。
「んぅ…」
噛みつくように口付け、口内を蹂躙する。自分に向けられるあからさまな欲情に、臨也の下半身にも熱が集まった。
「ふっ…シ、ズちゃ…ん」
甘えるように呼べば静雄の手がベルトにかかる。
「するの?」
「する」
「ここで?」
「ここで」
「シャワー」
「いらねぇ」

ベルトが外されていた。
「おい、テメェ…痩せたんじゃねぇか?」
ただでさえ細身のスキニーパンツに、ボタンを外さないままでも静雄の手が入った。
「最近忙しかったからねぇ…」
「明日なんか買っとけよ。メシ、作りにくるから」
思いがけない提案に臨也の心がまた揺れる。
「じゃあ食べなきゃいけないなぁ」
「おう。残すなよ」





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