――せんぱい、どうしよう、俺、もしかしたらせんぱいのこと、些か結構嫌いかもしれねぇんですよねー。

――あはははははっ、此二つ結び構いて女を兼ねるとは何事なの。

――意味わからねぇですってば…………ん? もしかして、ちょっと傷つきました?

――…………何言ってんの?

――おっ? 今度は強がってる?

――あたしは強くはなれないよ。

――なるほど、じゃあそりゃ本意に違いねぇですね、つまり“意味がわからん”と。

――まあ、あたし、君に好かれる要素は無いと思ってるけど。

――自分で言いやがりますか。

――君の生傷が絶えないの、あたしが原因じゃん?

――わかってんなら、もう上級生けしかけんのやめてくれねぇですかね?

――やだ、だって、君、強いんだもん。

――俺だって好きでこんな馬鹿力あるわけじゃねぇんですけど。

――あたしだって好きでこんなに馬鹿非力なわけじゃないけど。

――お互い大変ですねえ。

――全くだよ。

――んで、です。

――んで、か。

――俺、せんぱいのこと、些か結構嫌いかもしんねぇんです。

――あっそう。

――嫌いっつーか、なんつーか、……まず俺自身、平和主義者だからなあ……せんぱいとは、元から話が合わない筈なんですよ。

――だから嫌いってか。

――だから、っていうか、まあ、せんぱいがいくら戦争主義者だからって、俺に喧嘩させたり、喧嘩巻き起こしたりすんのは、やっぱムカつくかなって。

――ふぅん、悪かったね。

――謝る気無いんならそう言わないほうがいいですよ?

――あはははっ、なら、悪くなかったね。

――いやいや悪いし。

――どっちなの。

――とにかくです……せんぱいがいくら戦争主義者でも、俺は揺るぎなく平和主義者なんですよ、喧嘩だの争い事だの……やっぱ……ゴメンしたいなあと。

――ゴメンしたげない。

――あんまりだ……悪魔! 小悪魔! 堕天使!

――だんだんマシになってきてるけど。

――この見た目大天使さんが。

――センソウダニエルみたいな?

――ダニエル?

――…………むぅ。

――ぷっ。

――…………、じゃあさあ、へーくん。

――はい?

――あたしのこと、やっつけちゃえばいいんじゃない?

――はあ?

――へーくん強いんだし、あたし弱いんだし、あたしいなくなればへーくんにとっては楽でしょ?

――あのねえ、せんぱい。

――うん。

――平和主義者な俺が、なに自分から暴力沙汰起こすようなバカしなきゃなんねぇんですか。

――なるほど。

――それにせんぱい、アンタ女なんですよ? 胸部以外。

――あー、うん、黙れば?

――女に手をあげるような男は、最低です。





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