Happy Birthday Eve 1
「…」
「…」
「寒ぃ…」
「……。でで、でも楽しいでしょ?!」
「こんな寒ぃ日に川見て何が楽しいんだ」
「うぅ…でも…でも好きでしょ?!小川のせせらぎ!日向ぼっこ!」
「そりゃ好きだけどよぉ…何もこんな寒い日にしなくてもなあ…」
「う……。だって…」
今日静雄の誕生日じゃないですか。
忘れてるみたいだから言わないけど。言いませんけど!
「今日これ絶対ぇ5℃くらいしかねえだろ…寒ぃし」
「(何で知ってるの…滅多に天気予報見ないくせに…)」
「用ねえなら帰るぞ」
「ええっ…か、帰るの?!」
「折角の休みだしたまには部屋でゆっくりみかんでも食いたい」
そんな!折角田中さんに静雄に誕生日は休ませてあげてと土下座までして頼んだのにっ!
今帰られたら困る!折角セルティさんに頼んで部屋飾り付けてもらってるのに!!
そんでもってまだケーキ焼けてない……プレゼントだってあと1時間でやっと送られて来るのに!そうこうしてる間にも立ちあがる静雄!!ああ、大変!
なな、なんとか引き止めねば…!
「し、静雄!見て、ほら、ロブスターがおねんね!!」
「それザリガニだろ。冬眠中に見てもな…」
「あーっ!!あの雲、宇宙人みたい!」
「宇宙人見たことあんのか」
「見て見て!あんなにも大きな木が青々と生いしげ」
「寧ろ枯れ木だろーが」
「……わあーこの石幽くんみたい!」
「そんなごつごつした石と幽を一緒にすんな潰すぞ」
「……」
「…何だよ」
「人の揚げ足ばっかりとって…」
「変なこと言う名前が悪い」
だって他に引き止める方法が浮かばないんだもの。
そう思いながら座り直し、いじけてみせると静雄が「そんなに外にいたいのか」と不思議そうな顔をした。
そしていざっち(臨也のあだ名)曰く童貞シズちゃんは驚くべき行動に出た!
「そんなに言うんなら俺を温めてみろ」
言いながら少女漫画的シーンを生み出した男、シズオンヌ…彼はおもむろに私の体を包み込んだそして一言!
「名前、震えてるぞ、寒いのか…?仕方ねえな、俺が温めてやるよ…」
なんてお決まりの少女漫画的セリフを言ってくれるわけはなく!!代わりに「うおおおお!!」と雄叫びを上げ、それに続けて代わりの一言!
「手前も寒がってんじゃねえか!何だこの手!超冷てえ!」
「べ、別に寒がってなんかないんだからね!勘違いしないで、ほっかいろは常備よ!し、しかたないわね、折角だから1個くらいあげるわよ!」
「誰の真似だ」
「分かんないけど……」
「まあ折角だから1個もらっとく」
「う、うん…」
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