七夕

「ヤッホー☆」

いつもの様に軽い挨拶と共に鳴衣と馨流が来た。
後からは何か持った彩園寺さん。

「うちの学園で七夕イベントがあったんだ」
「そうそう。だから余った笹持ってきたのぉ」



「じゃあ玄関に飾りましょうか」
神父サマの誘導で理事長から受け取った笹を持って行く。
重くはないが如何せん持ち運ぶとなると邪魔だった。

彩園寺さん ありがとう。
大変だっただろうに。


今日は午前授業だから昼から来たらしい。
まだお客さんも来るだろうから笹の横に短冊とペンも設置した。



「真知ーー!」
いつもと変わらぬ父さんの登場。

「朝御〜。久しぶり」
そして彩園寺さん崩壊。




「こんにちは神父さん まち君。今日は何だか賑やかね」
とサトミさんがやって来た。
いつも通り野菜を持ってきてくれた様だ。

「ありがとうございます。良ければ短冊書いてって下さい」
と薦めてみる。
「あらそう?じゃあ…」
意外に興味を引いたらしくサトミさんは足早に笹を目指していった。


「お久しぶりですマチ!」

明るい声が聞こえた方を向くとブロンズの髪をポニーテールにした 女の人がいた。
タイトめな白いシャツにショート丈のジーパン。
それから見覚えのあるカバン。

「……………ミーさん?」

「Yes!覚えててくれたのデスね」

当たった。
大分イメージが違ったから自信は無かったのだが。

「お久し振りです。ミーさんもせっかくですから短冊書いてください」
「?」
「あー…。えっとですね…」"七夕"の説明をしてサトミさんと入れ違いに書いてもらう。

「じゃあ礼拝堂にいますね」
「OKー!」




それから初対面の二人を紹介して逆に皆も紹介した。

たまに神父サマが来るお客さんの相手をするために席を立ち 間にミーさんのお土産(謎のお菓子)を詰まんで会話する。

二人ずつ位のペースで皆は短冊を書きに行ってくれた。

何やらミーさんと鳴衣は仲良くなったようでメール交換までしたようだ。




夕方に差し掛かった頃。
サトミさんが帰って
すぐ後位にミーさんも帰った。

名残惜しそうだったが休暇が1日しか取れなかったそうで 飛行機の時間が有るのだと。


それからまた話して 日が沈んだ頃に皆も帰った。
これからまた仕事があるんだと。

「うん。ありがとう じゃあまた」




「私たちも書きますか。短冊」
「そうですね」


来た人は書いてくれた様で1日だけだが結構短冊が揺れていた。

――健康第一

――ヘソクリが増えます様に

――息子の受験が受かります様に

主婦らしい物が多い。

――萌えを!

…は鳴衣だろう。

ちらっと丁度笹に結び付ける神父サマの短冊を見ると

………。

まぁまだまだ楽しむらしい。


「マチクンは何て書いたんですか?」
神父サマが聞いてくる。
「え…えぇまぁ」

少し恥ずかしかったので濁していると 短冊の方を見たようで

「あぁ。そうですね」
きっと叶いますよ。そう言ってくれた。


「夕飯の支度しますね」
「ありがとうございます。
…天の川 見れそうですね」
「そうですね」
「折角ですから外で食べましょうか」
「え?
…そうですね」


来年の今頃も
これから先も



オレは

こんな毎日が続くと良いと思えた。


end

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