「助けて下さい」は私の台詞。
1

「あなたカッコいい!お名前は?」
「あの、神子様…」
「もう!前にも私のことは名前でって言ったわよね?あっ!あなたもカッコいいわね!」

……こんな会話がエンドレス。

そんな我が校への転校生、基 今は麗しの神子様だっけ。の茶番を少し離れた所から眺めているのが私。

フィクションでしか見たことの無いような実にファンタジーな世界に私達は来てしまったのです。

「………」

ここは異世界だ。と踏まえた上でまずは事の経緯を思い返してみよう。


―――事の始まりは数週間前、私が生徒会会長を勤める学園に何とも微妙な時期の転校生がやって来た。

それがあの子。

見た目はウェーブのかかった綺麗な金髪に硝子の様に透き通った蒼い瞳。
男どころか女の子達までもが、その生きたフランス人形に沸き立った。

でも正直言って中身は最悪だった。
好奇心旺盛と言うべきか、授業を受けずに学校散策。
邪魔だからと言って退かすとは名ばかりの器物破損に、気に入らない子へ手を挙げるのも当たり前。

この歳でそんなんだからガキより質悪い。

そんな一度動けば百害有っても一利は無い子に学園の人気者達が惚れて常に彼女を護る騎士を気取り出した。

何をトチ狂ったかその先頭を切って風紀を乱す輩は、よりにもよって私の仕事仲間でもある生徒会役員達だ。

仕事もせず、授業も受けずにその理由にいけしゃあしゃあと姫を護るなんて述べるものだから、もう会長として情けなさ過ぎる。
自分のキャラを忘れてOTLな体勢をとってしまいそうな程のショックだったが、残念ながら仕事をしていたのは私一人となりそんな暇も労力も無い。

更に残念な事に風紀も歩く厄害に人員総動員しても足りないと言うから凄い話だ。


いっそのこと私の邪魔さえしなければアレ等を気にすることも無かったんだけれど…そうも行かなかったのは彼女が私に付き纏って来たからだ。

生徒会と言う学園の有名人で唯一靡かない私を大親友(はぁと)と無邪気に公言しては生徒会室に入り浸る彼女。
男(役員含む)を侍らせて、彼女のやらかした被害届を処理する私にその茶番に混ざれと言っては痣が出来る程私の腕を掴んで揺するのだ。


で。


そんな付き纏い生活の中、事件は起きた。

書類を抱え風紀に向かう途中取り巻きを引き連れた彼女が来た。

しかも行く手を阻み仕事より私と遊べと言うまさか過ぎるお叱り。

何それ。私アンタの彼氏になった覚えはないぞ。
友達でもないがな。

聞き流しながらさっさとそのクズ(役員)連れてどっか行け。と思っていたのが悪かった。

相手にされなくて怒った彼女は私に掴みかかって、そして…………


落ちた。

[ 56/111 ]

[*prev] [next#]
戻る


top


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -