鳥籠の宴
10【託卵】

最後の蛇まで、遂に早贄が済んだらしい二羽の姿を鳥籠から眺める一羽のカッコウ。

「あー終わっちゃったなぁ」

オナガの百面相は面白かったけれどね?終わりなんて呆気ないものだ。
……それにしても、まぁ悪趣味な木だこと。ボクの趣味ではないなぁ。

なのに、両端の教室からは相変わらず授業を続ける声しか聞こえない。悪臭が充満しているだろうに、フェンスの向こうに見える近隣も何処も騒ぎやしない。
ニンゲン達はボク達の───鳥の生存競争にはキョーミがないんだねぇ。

「アハハ。充分狂ってるじゃないか」

───やっぱり、カナリアが逃げ込んだ事をオナガに話して良かった。
飼い殺されていたモズに早贄を教えて良かった。

案の定切っ掛けを与えただけなのに、ボクがやらなくても彼女達が確り育ててくれたからね。
自分の身よりも遥かに大きな子供が生まれた事をきっと彼女達は気付かない。




───さぁ、今度は何処にこの悪意の卵を託そうか。



end

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