鳥籠の宴
7【一本の枯木】

普通ならば現在は授業中だと言うことも忘れ外に出た尾長は、何処に行ったのかも分からない百舌鳥を捜した。
百舌鳥の靴は無くなっていたのだから、恐らく校舎からは出たのだろう。下駄箱に代わりに収まっていた百舌鳥の上履きを、尾長は確り切り刻んできた。
体育館から聞こえてくる他クラスの賑やかな声が現実味無く耳に届く。女子バスケットボールの授業なのだろう。きゃっきゃと明るい声が飛び交う中にボールの弾む音が混じってる。

───嗚呼。彼女達は何が楽しいのだろう。

百舌鳥を捜して体育館に沿って歩く尾長が呟く。

───女ばかりで金糸も取り巻きも居ないと言うのに。アタシがこんなにも苛立っていると言うのに。
何が愉しくてそんな声を出せるのか。意味が分からない───イライラする。

早く、早く百舌鳥を─────。






そうして、尾長は体育館裏の静かな場所に来た。小さな中庭状の拓けた場所は手付かずで草が生えっぱなしだ。
此処に在るものと言えば枯木が一本くらい。静かに聳えている。

「アレ…?」

きょろきょろと百舌鳥を捜して尾長の瞳が忙しなく動くが、見えて来たのは大きな枯木のシルエットだけ。

だが、あんな感じだっただろうか?

僅かな違和感に、尾長は視線を枯木に向ける。次第に定まる焦点。

だってほら、あんなに繁って…




───、



「きゃああぁぁぁあぁぁっ!」

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