鳥籠の宴
5【異変】

最近の尾長は苛立っていた。思う様な百舌鳥イジメが出来なくなっていたからだ。
その兆しが有ったは傍観者達の欠席。一人、また一人と教室に姿を表す人数が減っていた。そしてそれが取り巻き達にも広がり始めた。
イジメに加担しない彼等の欠席に、当初は見て見ぬフリにも限界を感じ大人しく引きこもりにでもなってたのだろうと尾長は半ば適当に結論着けたが、取り巻きまでとなると見過ごせない。
彼等が居ないと、尾長一人では虫一匹にも触れないし、水の張った重いバケツなんて運べない。精々が口汚く罵り、自らビンタを浴びせる程度か。

───イジメがこのまま生半可なものしか出来ないとなると、百舌鳥が調子に乗ってしまう。雀が自分の元へと帰って来ないではないか。

尾長は焦った。取り巻きの、あんなにも自分に心酔し従属していた男達すら、自ら電話を掛けてやっていると言うのにも関わらず誰一人として応答が無いなんて。

なんて薄情。
なんて使えない。

人影の疎らな教室では、さも当然とばかりに自席に座り仲睦まじく雀と話している百舌鳥。

雀が笑い掛けているのがアイツだなんて。アイツが髪ひとつ汚さずそこに存在するなんて。



───おかしいじゃないか。

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