なついあつ。
暑い…から動くのシンドイ…。
「寄りかかんなよ」
「溶ける」
「もう溶けてんじゃん」
くつくつ笑いながら、でも引き剥がしにかかられた。
「いいじゃん」
「暑いからヤダ」
脱力とは相反する抵抗を見せる俺。
「クーラー付けよう」
「天才」
これで引っ付いていられるな。
「これでお前も動けるな」
「え」
「え?」
俺とこいつ、気が合わない。
「むり。俺の凝固点はもっとひくい」
「俺は動けるけどな」
問答無用に立ち上がられて、俺は倒れないように自立せざるをえなかった。
くそう…負けた気分。
「ほい」
「ん?あんがと」
行って帰ってきたこいつの手にはアイス。
母さんから入手したに違いない。
…我が家、アイスなんてあったんだ。
「ん。」
「はいはい」
すとんと定位置に戻ってきたから、俺はまた融解する。
「また溶けた」
「キミに触れたところからトロトロさぁ」
end
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