いつまでも

春の陽気な日差しが照りつけ始めたこの季節。暖かな春の風が吹き抜ける今日、結は高校を卒業する。

「卒業生、起立。」

ザッ、と音を立てて立ち上がる卒業生。在校生や来賓客、ここまで育ててくれた保護者、そして今までお世話になった教師たちがそれを温かく見守る。教員席に座る空条承太郎も、その内の一人だった。自分の教え子が卒業するから…も、あるが、一番は自分の愛しい恋人の結が卒業するから。承太郎は寂しくなるなと思いながらも、結だけを見つめていた。結も、隙を窺っては、チラリと承太郎を見つめる。二人は目が合う度に笑い合っていた。




卒業式最後のHRも終わり、承太郎に呼び出された結は生物室に来ていた。式典のために仕立てられた黒のスーツを身に纏っている承太郎。いつもの白い帽子ではなく、スーツの色に合わせた黒の帽子を被っている。いつもの雰囲気とは違う承太郎に、結の心臓が煩く鳴った。

「待たせたな。」
『ううん、平気!』
「ほらよ…結、卒業おめでとう。」
『わぁ!綺麗…ありがとう承太郎!』

承太郎は結に大きな花束渡す。結はそれを受け取ると、承太郎に抱きついた。承太郎はなれたように結を受け止めると、おでこにキスを落とした。

『こんなに大きな花束、初めてもらった…!ありがとう承太郎!大好き!』
「おれは愛してるぜ、結。」
『…もう…!私だって愛してる!』
「知ってる。」

承太郎がくつくつと笑う。結は承太郎に回した腕に力を込めた。

「おれはおまえの初めてが全部欲しいからな…。何でもしてやるぜ…。」
『!…そんなことしなくても、私から全部あげるもん!』
「…フッ、ありがとよ。」

承太郎は結の頭を撫でると、優しく抱きしめ返した。結はくるりと体を回して承太郎に背中を預ける。

『でも、こんなにたくさん貰って…花瓶足りるかな?』

くすくすと笑いながら、結は花束を見つめた。一輪一輪綺麗に咲いている花たち。結は首を傾げた。花束の真ん中に詰められた真っ赤な薔薇の花が一輪。その茎に通された光る何か。

『ん?なにかついてる…。』

結はその光る物が落ちないよう、そっと薔薇の花を引き抜いた。

『!…これ…、』

光る物は指輪だった。承太郎は結の手から薔薇を取ると、茎から指輪を抜いてそっと結の手をとる。左手の薬指にそれを通すと、承太郎は結を真っ直ぐ見つめ、そして…、

「結、おれと結婚してくれ。」

薔薇の花を差し出した。

『…!嬉しい!勿論よ…!喜んで…!』

結は薔薇の花を受け取り、再び承太郎に抱き付いた。




いつまでも
 一緒にいよう

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